上尾中央総合病院 石川です。
コロナ禍になってから行けておりませんでしたが、今年はITEMに参加することができました。
密を避けるため、GEHCのブースではモックアップの展示はなくAIRコイルの展示のみとなっていました。
GEHCの今年の売りは大きく2つ。SIGNA Primeと以前より打ち出しているAIR Technology です。
AIR Recon DL
今年も至る所でDeep Learningの話題が上がってました。GEHCのDLはk-space domainで行なっており、ノイズ除去だけでなくトランケーションアーチファクトの低減や尖鋭度の向上も得られます。DLReconの強度はLow、Medium 、Highの3種類から選択可能となっており、SNRが担保されている画像でも、DLR Lowを利用する事で前述の恩恵が受けられますので、使用しない手はないと思います。
特に3.0T装置に比べてSNRが劣る1.5T装置では、AIR Recon DLの効果は絶大です。
下の画像の左側がAIR Recon DL画像、右側が元画像です。SNRが大幅に改善されていることがご覧いただけると思います。
下の画像は左側が元画像、右側がAIR Recon DL画像です。同一撮像でこれほどまでに尖鋭度が向上し、骨梁が非常に明瞭に描出されています。
AIR Recon DLを使用した心臓の画像もありました。大動脈のBlack Bloodでは血管壁がとてもシャープに描出されています。
AIR MP Coil
従来のAIRコイルは縦に長いので、躯幹部を撮影するには良いのですが、膝などを撮影しようとすると、どうしても取り回しに苦労します。AIR MP Coil Large は21チャンネル(3×7)で、大きさは縦30cm×横68cmです。
胸腹部にあるコイルが従来のAIRコイル、膝にあるのがAIR MP Coil Largeとなります。
このコイルに使用されているインカワイヤーと呼ばれる新たな素子は、従来の素子とは異なり、コイル素子を重ねてもSNR低下が発生しないという特徴を持っています。しかもフレキシブルなので膝にぐるっと巻くことができ、このように使用できます。
Z方向が短いので局所の撮影で重宝しそうです。その他、心臓や骨盤腔などにも使えそうですね。以前にあったカーディアックコイルのようで、使い勝手はとても良さそうです。
また、膝専用コイルや肩専用コイルなどの専用コイルを購入しなくても良いのは、とても魅力的です。
SIGNA Prime
直感的に操作できるコンソールをコンセプトに作成されたSIGNA Primeでは、コンソール画面が一新されました。
スキャンモードには2つの設定があり、エクスプレスモードでは1検査のクリック回数を40%低減し、少ないクリックで検査を完結する事が可能となりました。一方、クラシックモードでは従来通り各種パラメータが表示され、それぞれを変更できる仕様となっています。なお、こちらのモードは検査中でも変更できます。
あまりパラメータ変更をしない頭部の検査などでは、エクスプレスモードを選択する事でオペレーターの負担を軽減できそうですね。
また、AIR x(Deep Learningを用いた自動位置決め機能)を併用する事で、よりスムーズに検査が進行できそうです。
更には電源20kVAで最短TE/TR 0.22msec/0.8msecを実現しており、これが非常に凄い事で、通常は50kVA以上が必要なんだそうです。因みにGEHCのflagship model であるSIGNA Architect(3.0T)は130kVAらしいです。ランニングコストの節約が見込めますね。
oZTEo
GEHCのBone imagingです。oZTEoにて撮像した骨画像から3Dプリンターを用いて模型を作成していました。被ばくなしでこれらの模型が作成可能です。術前のシミュレーションなどにいかがでしょうか。
oZTEoと頸部MRAを組み合わせることで、非造影にて骨と血管の解剖学的な位置情報も提示する事ができます。
おわりに
とにかく話題のDLR、当院でも使用していますが、とても素晴らしい技術です。
しかし、GEHCでは3DやRadial収集のシーケンスには未対応となっており、今後の課題となっています。特に3Dに適応可能となれば、より高速に高分解な画像が取得できるため、新たな扉が開かれると感じており、今後に期待しています。
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