初めに
皆様はじめまして。松原徳洲会病院、診療放射線技師4年目の恒吉と申します。
松原徳洲会病院は大阪府松原市にある189床の総合病院です。「いつでもどこでもだれでもが最善の医療を受けられる地域社会」の創造に貢献できることを最大の目標として、また地域の救急病院として「生命だけは平等だ」の理念のもと24時間365日、医療の提供、救急患者の受け入れを行っております。
当院での救急頭部MRI
当院では3.0TのMRI、一台のみで検査を行なっているため、予約患者様の間に緊急撮影を入れるしかありません。
また緊急時の撮影シーケンスは必要最小限のDWI、MRA、FLAIRのみ撮影をしております。
(技師判断で追加する場合もあります)
撮像時間は
DWI 1min、MRA 3min50sec、FLAIR 2minとなっております。
MRIって怖い
MRIで起こる事故、何が怖いかというとまず思いつくのが吸着事故だと思います。
死亡事故にもなりかねませんから。
しかし、実際臨床で吸着事故はそんなに頻度が高くないもの! だと勝手に思っております。なぜならば、主にMRIに従事する者としては絶対に起こしてはいけない事故だと脳に刻まれており、細心の注意を払いながら日々業務をしているからです。
じゃあMRIで本当に1番怖いのは何かと。
ズバリ”MRI撮影中の患者さんの急変”です。
例えば多少体が動いたからといってもあと1分で終わる!となると撮影が終わるまでとりあえず待ってみたりしませんか?その体動がもし患者さんの急変のサインであったとしたらどうでしょう。1分でも待ってしまったことを後悔すると思います。場合によっては取り返しのつかないことになるかもしれません。
危なかった
先日救急患者の頭部MRI撮影を行った際の話です。
意識障害で救急搬送された患者さんで、CTでは何も分からずMRIを撮ることになりました。
患者さんは意識がなかったもののバイタルは安定していました。ただ体動が少しある感じでした。
寝台移動後すぐにパルスオキシメーターを装着して撮影を開始しました。
DWIを撮影した時点で所見があったため、Drに連絡、続けてMRAを撮影しもうすぐ終わる…その時でした。突然脈波の波形が微妙に乱れだしたのです。体動が元々あったので監視モニターで見てても患者さんに変わりはありませんでした。普通ならそのまま撮影を続けるところでしたが、脈波の微妙な乱れが気になったためすぐに撮影を止め、検査室内に入り患者さんを引き出そうとしたところ、意識がなかったはずの患者さんの目が開いており、苦しんでる様子でした。急いでヘッドコイルを外そうとした時に大量の嘔吐。すぐさま横に向け、応援を呼び誤嚥を防ぐことができました。
もしも
もし、パルスオキシメーターをつけていなかったら…
もし、脈波が乱れてたとしても体動のせいだと思い込んでたら…
もし、あとちょっとで終わるからと、検査を止めずに続けてたら…
最悪の結果になってたかもしれません。
ルールとしてパルスオキシメーターは全例付けることとなってます。
たとえ健常者であってもです。
MRIをさせてもらえるようになって1年ちょっと経ちますが、いつも「なんで全例つけなあかんねやろう。手間やな〜」と思いながらもルールなのでつけておりました。
そんな中、今回のような経験をし、「ルール守っておいてよかったーー!!!!」と心から思いました。
皆様の施設でもこのような経験あるでしょうか?
またどのようなルールがあるでしょうか?
これからも、ただ患者さんを寝かせて撮影をこなすだけじゃなく、常に患者さんの状態を確認しながら日々検査をしていこうと思いました。
MRIって怖いなと改めて思った経験でした。
(松原徳洲会病院 恒吉)
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。