MRIクイズ (1) ーTOF-MRAの特性から疾病を推定する

頭部ルーチン検査はどの病院でもたくさんあると思います。ところで皆さん、ルーチン頭部撮影を行っている時に、下図のような画像が出てきたらどうしますか?どのような病態を思い浮かべて、追加撮像をしようと思いますか?

まずは異常部位はどこでしょうか?

頻回の意識消失発作

まず、違和感があるのは、左椎骨動脈が中途半端に描出されていることですね遠位のみ1-2cm程度のみ描出されていますね。椎骨動脈低形成や動脈瘤、解離とも違うような・・。なぜ遠位だけしかもちょっとだけ見えているのでしょうか?実はこれには深い理由があるのです。

 追加撮像は何にしましょう?

1

追加撮像は、先日石森さんが投稿して頂いたBPASですね。MRAで描出されていない部分までB-PASで左椎骨動脈が描出されていますね。ということは、左椎骨動脈の正常径の血管としての描出があるのに血流が描出されていないことになるのです。

 

上記の病態としては、左椎骨動脈の遠位だけ血流があって近位がないことになります。こんなことってありえませんよね。ところが、このような条件を満たす病態があるのです。

 どうなっているかと言うと・・

2

そうです。左椎骨動脈が逆流していればこうなるのです。なぜって?
椎骨動脈の逆流があれば、①で逆流椎骨動脈は撮影範囲分だけ描出され、その部位より足側は②で上から信号抑制(REST)で描出されないことになります。左椎骨動脈逆流がなければ、②で左椎骨動脈の撮影範囲は血流があるはずです。

さらに興味深いことには、逆流椎骨動脈が描出される長さは一度に撮像するスラブ厚とRESTとのgapに依存するはよく考えると納得です(RESTが両側椎骨動脈の分岐部にかかった時点で逆流椎骨動脈は描出できなくなる)。

実際、gapを少なくすると逆流部分は短くなりました。

TOF-MRAの撮像原理から病態が理解できる症例でとても興味深いですね。

診断・治療と治療後の画像

3

診断は、左鎖骨下動脈高度狭窄に伴う鎖骨下動脈盗血症候群です。後日、高度狭窄した左鎖骨下動脈にステント治療が行われ、術後頭部MRAにて見事に左椎骨動脈が順行化し、全長が描出されました。

この症例の興味深い点は・・

鎖骨下盗血症候群は様々な特殊な撮像を行うことにより、MRAでは造影剤を使わなくても描出は可能です。しかしこの症例のポイントはそのような手法ではありません。ルーチンの頭部MRAで撮像範囲に全く入っていない鎖骨下盗血症候群を診断できるということです。見えていない部位をさりげなく診断する!・・かっこいいと思いませんか?MRIに携わるものとして仕事の醍醐味と思います。皆さん、頭部MRAでこのような症例に出会った場合は、さりげなく血流が逆向きになっていますよって、つぶやいてみましょう(^_^)v。

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Katahira Kazuhiro

Katahira Kazuhiro国家公務員共済組合連合会熊本中央病院放射線診断科部長

投稿者プロフィール

とにかく新しいもの好きです。CTでもMRIでもRIでも新しいものがあると飛びつく長所か短所かわからない性格です。もちろんMRIは新しいものの宝庫なので大好きです。
今までわからなかったことがわかるようになる瞬間の醍醐味を求めて日夜遊んで(仕事をして)います。

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コメント

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  • コメント (1)

    • しん
    • 2014年 11月 07日

    エコーに、知識のある技師さんが、大事にしているところですね。
    うまく言えるよう、練習します^^

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