みなさんこんにちは。編集長の高原です。
昨日は、講演のため沖縄(那覇)にお招きをいただいたのですが、せっかくの機会ですので、以前から懇意にさせていただいている又吉先生を頼って、那覇市立病院におじゃましてきました。
那覇市立病院は、モノレール駅と直結している、すごく便利な病院です。駅直結というのは本当にすごいですね。
まず、読影室にお伺いをしまして、DWIBSの撮影例を拝見し、画質の評価を又吉 隆先生(右)と行いました。上に写っているのは吉長正富先生。その左側は安木かほり先生。
那覇市立のPACSは東芝製で、ティーチングファイル(TF)システムはPSPです。PSPのTFシステムは本当にすごくて、以前に行ったイレウスの検査も一瞬で出てきます。これがあるとないとでは、retrospective reviewの効率が違うので、すばらしいと思います。
DWIBSの画質が分かりましたので、次はMRI室におじゃましました。
向かって左から新地孝行(にいじたかゆき)さん、眞喜志康宏(まきしやすひろ)さん、私、又吉先生、大城洋介さん、石垣太志技師長さんです。
昔、高分解能乳腺MRI(DWI)を担当していたのが石垣さんと大城さんです。腸管MRに取り組んでいるのが新地さん、胸管MRは眞喜志さんが頑張っているとのことです!
実際に撮影を行い、パラメータを少し修正することで、画質向上を目指します。那覇市立の装置はフィリップスのAchieva 1.5T(ソフトウエアバージョンは少し古いR.2x)だったので、それに適正になるようにすこしいじらせていただきました。主な修正点は
- interleave撮影になっていたので、これをdefaultに変更(interleaveだとTRが短くなり、TR<5000msとなっていたので)。「default」ではcross talkを生じると思いますが、撮影の結果ほとんど問題ないことがわかったので、interleaveを外しました。なお、TR 5000ms以上を確保する理由は、癌のようなT2が長い組織は、T1も長いため、短いTRを用いると、サチュレーションの効果が出てしまい、選択的に癌の信号が抑制されてしまうからです。一般に癌のT1は1秒ぐらいであると考えておくと良いと思います。TR5秒以上にすることで、癌のようなlong T1 lesionをより強調した(抑制しない)画像を得ることができるのです。cross talk が全般的なSNR問題であるとしたら、TRの事は、選択的なSNR問題であると考えておくと良いでしょう。
- half scanをYes (0.6)からNoにしました。今の機種ではHFはOFFのほうがシャープな画像が得られることが分かっています。但しこれは10年前の機種なので、gradientがそれほど強くありませんから、若干の考察が必要です。HFは、弱いgradientの機種でも、TEが短くできるメリットがあるのでInteraの時代にはとても価値がありました。このAchievaでは、HFをOFFにすることによりshortest TEは55ms→80ms (at b=800)とかなり長くなりました。しかし実際に撮影した結果、SNRは問題なく、むしろT2強調が効いた画像が得られたので、HFはOFFで良しということになりました。
- 撮像範囲が33cmになっていたのですが、コイルがSENSE最初期の SENSE body coil (4ch)なので、感度範囲は30cm程度です。このため、29cmスキャン、1cm overlapとしました。これにより、3ステーションの時の撮像範囲は、29X3 – 2 = 85cm。日本人なら概ねこの範囲で大丈夫です。
- b=0は撮ったほうが良いのですが、average high b =yes (number of b factor 2, b= 0/800, NSA4)という条件と、average high b =no (number of b factor 1, b=800 only , NSA8)という条件の2つを作って、あとで臨床的に(撮像時間との兼ね合い、ADCの必要性)を鑑みて決めてもらうこととしました。
・・・といったようなことを、撮影しながら皆さんで決めていきました。イレウスの10分プロトコール(動画リンク)のexamcardも、対応バージョンを持っていたのでインストールさせていただきました。
フィリップスの武村さんほか3名も来てくださっていたこと、また聖マリアンナ医科大学のブレストセンターにいる技師の馬野さんなどに電話連絡したりしながら、テキパキと行うことができました。ご協力ありがとうございした!皆さんのところでも、こういったハンズオンでの改善はワタクシ、喜んでまいりますので、どうぞ声をかけてください。
上の写真は、スキャンの間隔を変更して、29cm刻みにするためのマーキングをしているところです。天板を二重にする方法(スライディングテーブル法)*で行っています。
*Whole-body MRI using a sliding table and repositioning surface coil approach. Takahara T, Kwee T, Kibune S, Ochiai R, Sakamoto T, Niwa T, Van Cauteren M, Luijten P. Eur Radiol. 2010 Jun;20(6):1366-73. doi: 10.1007/s00330-009-1674-1. Epub 2009 Dec 8.
このようなスムースなことができるのは、放射線科医の先生方と、技師の皆さんの連携が良いからです。よい環境を提供していただけてとてもありがたかったです。今後の臨床がとても楽しみです。
「首里殿内」
その後、無事、医師会館で講演をさせていただきました。残念ながらその時の写真はないのですが、大勢の方にお越しいただきましてありがとうございました!
講演後琉球大学の村山教授にお招きをいただき、首里城のすぐそばにある、「首里殿内」というとても風情のあるお店に連れて行っていただきました。一緒に写っているのは琉球大学の伊良波先生。
下の写真は、お招きをいただいた琉球大学の村山教授(右)と、講演をなさった宮崎大学の平井教授(中)。平井先生の、造影後3D-FLAIRの軟髄膜の造影効果に関するご研究と画像は本当にすばらしいお仕事だと思います。私は「かりゆし」を着ておりま〜す。中庭の樹木には、沖縄らしい風情があります。
番外編500円刺身定食
そのほか番外編ですが、午後に那覇市立病院に行く前には、国際通りからアーケード街に入ったところにある「Kazami」というお店で、超お値打ちの、500円お刺身定食をいただきました。お刺身がとても新鮮で、歯ごたえがとても良かったです。
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