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東芝社製Titan 3T~新しいアプリケーション V 2.5の紹介~
- 2015/1/9
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東芝の3T MRI装置というと“Titan 3T”が発売されて4年以上経過しました。そろそろ革新的なバージョンアップにも期待したいところです。当施設では今年の9月からソフトウエアのバージョンアップを行い、いくつかの新しいアプリケーションV 2.5を使っています。(V 2.5は3T全ユーザーに無償バージョンアップが予定されているとの噂も…。)感覚的には、新しいGUIに入れ替わった、と言ったところでしょうか。但し、これまで私が経験してきたバージョンアップとは大きく異なります。今まで制限がきつかったパラメータの変更も自由に扱えるようになり、ついでにSNRも向上していますので、画質の向上や検査時間の短縮にも一役買うこととなるでしょう。
下図は、新しいGUIです。パラメータの配置が変わったこともあり、とてもすっきりした印象です。
新しいアプリケーションには、演算時間の短縮、SNRの改善、DWIの画質改善とパラメータ変更の自由度アップ、DIXON(東芝ではWFS:Water Fat Separation法と呼んでいて、2 pointタイプです…)、VAT(View Angle Tilting)、DIR (Double Inversion Recovery)などがあり、これまでになかった数多くの新しい機能やソフトが満載です。特に気に入っているのは、日常で使っている2D撮像シーケンスにvariable flip angle (MPV:Multi Planar Voxel )が併用できるようになったことです。また、縦磁化を強制回復させる(東芝ではT2Plusと言います!)も自由にon/offできますので、SARの低減とSNRの改善に役立てられます。もちろん、JET(radial scan)も自由にon/off可能です。このweb上で全てご紹介したいところですが、今回は、MPVとDWIに限定してその一部をご紹介したいと思います。
MPV(Multi Planar Voxel)を使ったSAR対策
3T MRI装置のSAR(Specific Absolution Rate)は、1.5T装置に比べて約4倍に跳ね上がりますので、実臨床ではスライス数の制限に代表されるようにSAR対策に際してかなりの知識と経験が必要なります。特にFSEを使用する際、複数回印加されるrefocusing pulseの影響によってSARが容易に増大してしまいます。この対策として、現在ではMPVを全ての2D FSEの撮像に適用しています。MPVを利用することで、画質が劣化することなくSARを最大約20%低減できるため、容易にスライス枚数を増やすことができるようになり、日常臨床に大変役に立っています。
2D MPVにはT1WI(T1)とT2WI用(kFA)それぞれ最適化されたvariable flip angleタイプが用意されていますので、オペレータはそのいずれかを選択して使用することとなります。PDWIは、TEが短いのでT1用を利用していますが今のところ問題ないようです。また、3D MPV(他社でCUBE,SPACE,VISTA,…)での臨床応用の検討を行っていますので、どこかで詳細な報告をしたいと考えております。
下図は、3D MPVで撮像した頸動脈プラークイメージです(矢印がプラーク)
新しいDWIとcDWI(computed DWI)
“Titan 3T”のRF送信は、2アンプ4ポイント給電で行っていますが、DWI撮像の際、撮像する部位によってはB0やB1の不均一性によってn/2アーチファクトが発生してしまい、画質が低下するようなことをしばしば経験してきました。今回新たに改良されたDWIの画像では、n/2アーチファクトがほとんど目立たなくなり、画質が大幅に改善したことを実感しました。
実際、どのような変更が行われたのか、全く明らかにされておりませんが、これまでn/2アーチファクトで悩まされてきたユーザーには朗報と言えるでしょう。もちろん、撮像条件のカスタマイズの自由度も向上していますので、こちらも画質改善に役立つと思います。
TE、ETS、実効TEまでのエコー数も可変可能となっています。こちらの例ではRFタイプが「PASTA」に設定されています。
また、話題のcDWIもルーチンベースで使用できるようになっていて、b値の設定も容易ですし、全て自動計算してくれますのでので、こちらもちょっと嬉しいニュースと言えるでしょう。
冒頭にも述べましたが、V 2.5に関しては、まだまだご紹介したいことがいくつもあります。詳細は、東芝メディカル社の方々がこれから様々な研究会や学会等で説明してくださるそうです。乞うご期待を!
Writer 紹介
山本 晃義
社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 画像診断センター
RADっていいともに登場していただいた、山本晃義先生です。
ご存じ、FBI動静脈分離の祖というべき方です。
“発見しようとする目で見なければ、本当にほしいものは見つからない!”と、まだまだMRIへの情熱に溢れていらっしゃいます (文:matsu)
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