MSDEの応用経過とInhanceの発想をもとに試みたMRNeurography

PC法のMagnitude画像を利用してMRNeurographyにチャレンジ!

皆さん、JA尾道総合病院 上中さんのお書きになった「Inhance 3D Velocityを用いた頭部造影3DT1強調画像」(2014/11/24 UP)をお読みになりましたか?

PC法のMagnitude画像では「bipolar pulseによる血流信号の抑制効果」がみられ、造影後の撮像に応用すれば、造影剤によって紛らわしく写る血管の信号を抑制してくれるという技術が紹介されています。言い換えれば、MSDE(Motion Sensitized Driven Equilibrium)と同様に優れたblack blood効果をPC法で出来るという、まさに目から鱗の創意工夫が記されているのです!

PC法のMagnitude画像にこんな特徴があるのなら、他のMSDEの応用事例にも使えるのでは・・・?
そんな発想でさっそくチャレンジしたのが↓のMRNeurographyです。

↓ベースとなるコントラスト画像:T2*コントラストを呈するLow FAの3D_GRE系シーケンスに水選択励起(ProSet1⁻3-3-1)を加えた画像です。(いわゆるProSet-FFEによる神経根描出法の撮像条件)

Pro1Source image

ProFull MIP& Partial MIP
TR34ms TE20ms Flip8deg  ProSet1-3-3-1  ACQ voxel 1.5×1.5×3.0mm 1:52 min

適当な条件によって神経根や後神経節も良好に描出されていますが、問題は背景にある余計な脈管!
後神経節の先(遠位側)の評価の妨げになっています。

MSDEに類似する効果を確かに実証!

↓上記撮像条件によるPC法。VENC(Velocity ENCoding:速度エンコーディング)を1cm/sec、3軸に印加して得られたMagnitude画像とそのMIP画像です。

PC1cSource image

PCFull MIP & Partial MIP
TR34ms TE20ms Flip8deg  ProSet1-3-3-1  ACQ voxel  1.5×1.5×3.0mm
7:30 min Velocity RL-AP-FH 1cm/sec

神経根描出の妨げになる椎骨静脈などの血管信号を程好く抑制され、腰部神経根・後神経節と遠位神経節の抽出能が向上しているのがわかります。

使用した装置はPhilips Intera1.5T。古いMRI装置でも出来る、ごく普通のPC_Magnitude画像の利用です。Inhanceとは異なり、3軸印加だと撮像時間がちょっと長いですが…

MSDE法と比較すると…

↓MSDEの応用例であるMRNeruography*1との比較。
(左がMSDE法 右がPC_Magnitude画像による方法)

MSDE

*1 3D T1_TFE, 1-1 ProSet  (MSDE+Phase cycling*2)  Scan time 5:17min
*2   MSDEにPhase cycling技法を施した手法をDSDE (Diffusion-sensitized driven-equilibrium preparation)とも言います。

今回のチャレンジではPC Velocity 1cm/sec(PC_bipolar gradientの最大値 )を利用しました。最も大きいbipolar gradientを利用しても背景脈管の抑制効果はMSDEに「いま一歩」の感じでしたが、T2コントラストを高める工夫や腸腰筋信号の抑制など、撮像条件の最適化を施せば、十分に役立つMRNeurographyを撮像することができるものと思います。

どの装置にも搭載されているPC法によって簡単にMRNeurographyができるというのは、とっても魅力的です。

是非、お試しください。

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  1. 2019-1-12

    ペースメーカ本体(ジェネレーター)の型番だけで、MRIの安全性を判断しないでください!!

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