DWIBSの撮像断面は、横断像ですか?冠状断ですか?
DWIBS検査を行っている技師のみなさん、DWIBSをどの断面で撮像されていますか?
横断像ですか?冠状断ですか?
これからDWIBS検査を始めてみようと検討中の技師のみなさん、どの断面で撮っていこうとお考えでしょうか?
私たちが使用しているGEの装置だけではなく、他のメーカーをお使いの皆さんも横断像で撮像していることが多いかと思います。
ただ・・・
BodyDWI研究会で東海大学の高原先生は「可能なら冠状断で・・・」というお話で、その際の資料も「冠状断ベースのWB-DWIの作成と観察のしかた」と冠状断でした。冠状断のほうが撮像枚数が少なく、時間が短くできるからです。それならば、横断面での工夫を冠状断に応用して、GE装置でも冠状断のDWIBS検査ができないかと技師魂に火がついたのがきっかけです。
道のりは遠く・・・
こちらの画像をご覧ください。冠状断、DWIBSを検討している頃の画像です。
MPGパルスは3軸同時印可の「3in1」で撮像したものです。「3in1」で撮像したのは、GEのコミュニティサイトである「Signa・る」のなかにDWIBSのプロトコールがあり、それが「3in1」での設定だったからです。「3in1」は、3軸同時印可でSI, RL, APを足し合わせるALLという方法と比較し、同じnexであれば撮像時間は短くなります。ALLは1nexに設定しても「3in1」の3nex相当になるので、同じnexの設定であれば「3in1」のほうが、撮影時間は短く設定できます。TEの短縮によるSNRの向上も期待できますが、ALLよりもSNRが悪くなることが予想できます。さてその「3in1」ですが、STEP間の信号ムラや、歪みなどが症例で起きてしまった為、MPGの選択を「3in1」ではなく、ALLを選択することとしました。
当院の冠状断DWIBSのプロトコール・・・
冠状断のDWIBSのプロトコールを紹介します。なお、DWIBSで使用している天板は、メディカルエキスパート社から販売されています。この天板も、DWIBSを行いたい私たちユーザーの声から製品化が実現したものです。
工夫点①「ASSETとpFOVの併用」
工夫点①は、「ASSETとpFOVの併用」です。Signa甲子園で発表された演題です。
横断像でのDWIBSですでに使用されていますが、これを冠状断に合うように検討を行い、FOVを60cm、pFOVを0.7とし、60cm×42cmで撮像を行っています。GEの装置はパラレルイメージングが2倍しか出来ず、pFOVを併用することで3.6倍相当となり、歪み軽減につながっています。
工夫点②「使用Coilを限定する」
工夫点②は、「使用Coilを限定する」です。撮像には、BodyArrayCoilを使用しています。このCoilを1STEPごと、撮像する範囲のエレメントだけが使用されるように限定します。
当院では、1STEP目と2STEP目は「Upper(8ch)」を、3STEP目は「Lower(8ch)」に設定して撮像を行っています。このように設定することで、感度領域は撮像範囲だけとなり、撮像範囲外からの余計な信号(特にノイズ)をカットすることができます。
なお、天板にはあらかじめ、Coilをどこにスライドすればいいか印がついており、そこへCoilをスライドさせることで、簡単でも正確に感度領域を限定することが可能です。
ここからは、当院で撮像した冠状断のDWIBS画像を紹介していきます。
冠状断DWIBSで撮像した症例の紹介・・・
①30代女性 原発:大腸癌、全身転移検索
②40代女性 原発:肺癌、オプジーボ+放射線治療前後の画像比較
③60代男性 DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)
④50代女性 乳癌術後の肺、骨転移 Fusion画像の紹介
最後に・・・
当院では、最近DWIBS検査が急増しています。
臨床側からの評価が、件数の増加につながっていると思います。
今後も、臨床に有用な画像を提供できるように努力していきたいと思います。
【ライター紹介】
焼津市立総合病院 宮﨑 研一と申します。MRIに従事して13年目の臨床検査技師です。普段はMRI業務、日当直では検査業務(血液や尿、輸血など)も行っています。車が好きなので、車とMRIの話をされるときっと話は尽きません。MRIをはじめ、いろんな職種の方々と交流できたらと思っています。ぜひ捕まえて声をかけてくださいm(_ _)m
Chief Editor’s Comments
GEグループのアクティビティには目を見張るものがあります。今回、直接冠状断をものにしたことにより、撮像時間の短縮(もしくは高分解能化、あるいは同一撮像時間内でのSNR向上)に結び付けられるものと思います。画質もかなり素晴らしいと思いますのでスゴイの一言。
ひとつ条件をつけるとすれば、脂肪信号は良く落ちています(合格)が、筋肉の信号がやや高いことです。これはシーメンスの装置でとくに問題となっています。フィリップスの装置ではこの現象がないので透き通るような画像が得られています。まずこの画質で問題ありませんが、一層の高みを目指してがんばってください。シーメンス装置では、とくに3Tにおいて、上下方向の不均一性が著明で、長いFOVが取りにくいことが分かっていますが、これもなんとか克服してもらえたらと思っています。
なお、スライディングコイル法は、フィリップスの坂元さんが考案し、古賀病院や熊本中央病院で育まれました。それがオープンアクセスの論文になっていますので参考にしてください。
http://link.springer.com/article/10.1007/s00330-009-1674-1
それではみなさん、患者さんのために一層頑張りましょう。勇気をいただける投稿誠にありがとうございました。
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