EPI-DWIを撮像する場合に直腸ガスが残っていたら
前立腺検査において直腸にガスがあるとEPI-DWIは磁化率の影響により歪んでしまいます。一度、検査を中断しトイレへ行っていただくのが最善の方法ですが、中々そうは行きません。そんな場合の小技を紹介します。
フィリップス装置のパラメータ設定にはFat shift directionという脂肪のケミカルシフト方向の設定変更が可能であることです。Default設定では Pとなっており、脂肪のケミカルシフトは後方のPosterior側になるのですが歪は前方のAnterior側に生じます。ということは外腺部に歪アーチファクトが生じるわけですね。このようなときはFat shift directionをAにすべきで、当院では初めからAに設定しております。 もう一つ歪によるアーチファクトを避ける方法をご紹介しましょう。一般的にはTransverseにてDWIを撮像する場合の位相方向はAP方向の設定となっております。ご存知の方も多いと思いますが歪みが生じるのは位相方向なので前立腺と直腸の位置関係上、どうしても避けられません。こんな時は位相方向をLRに設定することをお勧めします。直腸からのアーチファクトが横に流れてくれますので前立腺にかかりません。ただし、位相方向の折りかえりを防止するためにFOVの設定には気をつけましょう。簡単にどの装置でも出来ると思いますのでお試しください。 でも、横方向にアーチファクトが流れないときは前立腺癌を疑ったほうがよいかもしれませんね。 以上、EPI-DWIの小技テクをご紹介しました。
前立腺DWIを撮像する前の直腸ガスの排除
なお、当院において前立腺検査の前処置としてトイレに行っていただき排便、排ガスを促しています。これは直腸蠕動運動によるモーションアーチファクトの低減に有用です。また、ウォシュレットをすることも肛門を刺激し排便を促す効果がありますのでお試しください。
ライター紹介!
熊本中央病院放射線部の野田誠一郎と申します。当院に就職し、一通りのモダリティーを経験後にMR室に配属されました。片平先生がMRI大好きなので、よく相談に乗ってもらいます。MRIは奥が深く日常業務を行いながら疑問に思ったことを実験しております。
Deputy Editor’s Comments
前立腺MRI検査にガスは大敵ですね。理想を言えば検査前全員浣腸ですが、なかなかこれは壁が高いです。今回の記事はライター熟考のナイス小技ですが、このような小技を活用することでとっても臨床に役立ちます\(^^)\
みんなで小技を考えて情報共有しましょうヾ(^▽^ヾ)
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