★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!

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今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです

GEのマルチショットDWI(Diffusion Weighted Imaging)のシーケンスである「MUSE:Multiplexd Sensitivity Encoding」について基礎的な内容も含めて説明させていただきます。

はじめに

まずはEPI(Echo Planar Imaging)を用いたDWIについておさらいです。
臨床の現場ではシングルショット-EPI法を用いてDWIを撮像することが多いかと思います。これは、1度の励起でk空間を全て充填する高速撮像法です。

そんなシングルショット-EPI法の問題点の1つが「歪み」です。3.0Tの装置でFSE(Fast Spin Echo)法とシングルショット-EPI法を用いて頭部をそれぞれ撮像した画像を以下に示します(Fig.1)。左図のFSEと比べて右図のシングルショット-EPI法の画像は位相方向APに対して歪みが生じ、特に内耳や蝶形骨洞のような磁場の不均一を生じる領域で歪みが顕著に表れています。EPIシーケンスにおける歪みは、①静磁場の不均一、②位相誤差の蓄積、③Eddy Current等によって生じるとされています。

今回は②について考えていきます。k-spaceで考えますと、k-spaceの充填距離Δdが大きいほど連続する位相エンコード数の低減となり位相誤差の蓄積が抑えられるため、歪みは小さくなる特徴があります(Fig.2)。したがって、位相方向のFOVを小さくしたり、パラレルイメージングを併用したりすることで歪みを低減する対策を行ってきました。

MUSEの詳細

ここで、今回ご紹介するMUSEの登場です。MUSEは位相エンコード方向に沿ってデータ収集を分割し、ショット間で生じる位相差を補正しながら画像再構成を行うマルチショット-EPI法のDWIです(Fig.2)。装置のバージョンにもよりますが、データ収集を2~4回の複数回のshotに分割することで、各shotのk-spaceの充填距離Δdが大きくなり歪みを小さくすることができます。さらに、MUSEにはパラレルイメージングを併用することができます。GEではASSET(Array Spatial Sensitivity Encoding Techniques)になります。MUSEのショット数とASSETのfactorを最大限の値で組み合わせることで、歪みを従来の手法よりも低減することができます。ただしMUSEの方がショット分割によって動きの影響をより受けやすく、shot間の位相のずれによってSNRの低下を招くので、動きの影響が大きい場合は注意が必要です。

症例提示

症例を提示します。当院の3.0T装置で撮像した婦人科骨盤領域のsagittal画像になります。左はシングルショット-EPI法(ASSET=2.0)、右はMUSE:マルチショット-EPI法(shot=3、ASSET=1.0)で撮像した画像です(Fig.3)。シングルショット-EPI法による撮像では子宮周囲の腸管ガスの歪みが顕著に出現していますが、MUSEによる撮像では低減しているのがわかるかと思います。MUSEは、ショット分割によって動きの影響を受けやすい弱点がありますが、当院では婦人科骨盤領域の検査は腸管の蠕動運動抑制を目的として鎮痙剤を使用して行っているため、動きの影響を抑えて歪みの少ない良好な画像を得ることができています。

MUSEは撮像部位の制限もございませんので、動きの影響を抑えることに注意して、使用することができるご施設は是非ご活用ください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ライター紹介

倉敷中央病院 高田 雅士 (くらしきちゅうおうびょういん) (たかた まさし)

気が付けば技師歴14年目となり、MRIと血管造影の経験年数が多くなりました。

100円ショップで買った洗剤で休日にも度々実験をしていたら、妻に「洗剤と浮気をしている」と嫌味を言われるようになってしまいましたが、これからも臨床現場や研究等でMRIに関わっていけたらと思います。

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吉村 祐樹岡山済生会総合病院 放射線技術科

投稿者プロフィール

DWIとパラメータをいじることが好きです。MRIという名のテレビゲームをひたすら毎日やっている感覚です。このゲームは一生クリアできそうにありませんが、真摯にMRIに向き合っていきたいと思います。

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