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呼吸同期法の注意点 うるさい『音』の活用方法
- 2025/2/28
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★~★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです。
君津中央病院の嶋田諭です。
今回は「呼吸同期法」をご説明します。この方法は、主に上腹部領域において、T2WIやDWI、3DFSE(MRCP)などで使用されています。通常の設定でそのまま撮るだけでなく、ポイントを理解することでさらに綺麗に撮れることがありますので、今回はそのポイントや注意点をご紹介いたします。
呼吸同期法とは
MRI撮像はデータ収集時間が長いため、呼吸によって腹壁や臓器が周期的に動き、誤った位置情報として認識され、呼吸性アーチファクト(モーションアーチファクト)が発生します。呼吸同期法は、このアーチファクトを回避するための有効な方法といえます(Fig.1)。

呼吸同期法の方法として、腹部に呼吸センサーなどを置き呼吸波形を得るRespiratory Trigger法と、横隔膜に関心領域(ROI)を設定するNavigator Echo法があります(Fig.2)。いずれの方法も呼吸の周期や振幅と同期させてアーチファクトを低減する方法です。当院ではベローズチューブというゴム製のベルトを腹部に巻くRespiratory Trigger法で行なっています。

呼吸の仕方は人それぞれ!
呼吸の周期や振幅は人によってさまざまです。安定した呼吸状態、呼吸回数の人もいれば、そうでない人もいます。特に病院では、さまざまな疾患、症状の方がいるため、さらに複雑になることがあります。当院でMRCP検査時に右横隔膜上縁の振幅(移動距離)を測定したところ13.5±5.3 [mm]となりました(Fig.3)。さまざまな年齢や疾患の方がいらっしゃいますので、呼吸周期や振幅などが人によって違うのは当たり前ともいえます。
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呼吸同期法はいつデータ収集しているのか?
呼吸同期法でも、可能な限り呼吸波形の動きの少ないところで撮ることが大切になります(Fig.4)。なぜならば、シーケンス、パラメーターの設定にもよりますが、データ収集には一定の時間が掛かるからです。

GEの装置では、この呼吸波形に対して「Trigger Point〔%〕」と「Trigger Window〔%〕」という設定が可能であり、これは「設定した〔%〕内の領域ではデータ収集をしない」という設定になります(Fig.5)。

前述したように、呼吸の仕方は人それぞれですので、この設定を呼吸波形の中で動きの少ない呼気に調整することが非常に大切になります。特にGEの装置では、通常Trigger Pointから最短の時間でデータ収集をする「Minimum:最短」という設定のため、Trigger Pointの設定が非常に重要になります。
撮像中は『音』を聴こう
設定したパラメーターが動きの少ない呼気に合っているか確認をしましょう。ただ、GEの装置はデータ収集している時間(範囲)が表示されません。では、どうやって確認するか?それは、「音」を聴くことです。MRI特有のうるさい音は苦手な方も多いと思います。そもそも、この大きな音はなぜ鳴るのか?それは、設定されたパルスシーケンスの中で傾斜磁場を変動させながら実行されているからです。もう少し簡単に考えると、励起と収集を繰り返しているから、つまり、音が鳴っている時間の中でデータ収集しています。呼吸波形と音を確認することで、データ収集に適した(動きが少ない呼気)タイミングで撮っているか確認することが出来ます。普段うるさくて邪魔な音をこのように活用することが出来ます。
以下にMRCP時のTrigger Pointの設定を変更したケースをご紹介いたします(Fig.6)。

最後に、今回のお伝えしたポイントを整理します。呼吸同期では、
①呼吸波形を確認する。
②撮像を開始するポイントを最適化する。
③音を聴いて呼吸波形と合っているか確認する。
使用しているメーカーにもよりますが、是非お試しください。呼吸同期法がさらに綺麗に撮れると思います。
ライター情報
君津中央病院 嶋田諭(シマダサトシ)
技師生活の大半をMRと共に過ごしています。そのおかげで、多くの方々と出会うことが出来ました。GEユーザーですが、違うメーカーの話題もとても興味があります。当たり前のことを確実に、さらに当たり前を再考することで、日々成長できるよう頑張っています。研究会などでお会いしましたら是非お声がけください。

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