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ITEM2024レポート〜富士フイルム編〜
- 2024/4/16
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大雄会の伊藤です。今回、私はITEM2024で富士フイルムのブースを取材してきましたので報告いたします。
世界初!液体ヘリウム0のMRI装置
まず、4/8のリリースで、webサイトやSNS等で話題になっていた「ECHELON Smart ZeroHelium」のモックアップが展示されており、ブースでも一際注目を集め、最終日まで絶えず人だかりができていました。
この装置は、新しい冷却媒体を使用することで、マグネット冷却のために今まで必須だった液体ヘリウムを全く使わずに冷却するMRI装置です。
年々産出量の減少、高騰するヘリウムを使用しないことによるコストに加え、クエンチパイプ等の配管構造を必要としないため、設置コストも削減できるようです。
安全面では、磁性体の吸着時などに、従来であれば強制クエンチにより消磁するため、クエンチ時に大量の白煙が発生することによる周辺への迷惑、復旧までに非常に多くの時間を要するため、期間中の検査を止めなければならないことも大きな問題点でした。今回のZeroHeliumではこのダウンタイムも大幅に低減しており(富士さん曰く約80%)、なんと、緊急性の高くないケースでは、サービス員を呼ばずにユーザー自身で消磁と励磁を行えるようです。導入施設へのメリットはとても大きいと感じました。
フラッグシップモデルも大幅リニューアル!
また、昨年のITEMで発表されていたECHELON Synergyもソフトウェアの大幅なバージョンアップがされていました。
中でも「IQ Retouch」という技術は、体動によるモーションアーチファクトや折り返しアーチファクトを撮像後に後処理で除去でき、臨床現場のニーズにとてもマッチしていると感じました。
モーションアーチファクト除去は「StillShot」と呼ばれており、カメラ(Synergy Vision)とナビゲータエコーの両方で患者の体動を認識し、体動時に収集したデータを除去できるとのことでした。
検査中、予測不能な突発的な体動の際に、画像再構成でモーションアーチファクトを除去し、再撮像回避に期待ができるとのことでしたのでユニークな技術だと感じました。余談ですが富士製CTにも同名の心臓のモーションを低減する技術がありますね。
折り返しアーチファクト除去技術である「Exp. RAPID」は、パラレルイメージングの再構成を応用し、折り返し除去率を後から変更できる機能です。位相方向のFOVを大きくして画像再構成する際に、FOVを広げた割合に対応させてパラレルイメージングのファクターを大きくして折り返しの展開をすることで、折り返しの無い画像を得る技術で、3Dシーケンスにも適用できるそうです。体格が大きい場合や普段あまり使用しないシーケンスなどで思いがけず折り返しが発生してしまった際にはとても助かりますね。
「VINCENT」の解析技術もさらに深く、広く
続いて富士フイルムメディカルのワークステーション「VINCENT」です。
VINCENTはVer. 7.0をリリースしており、「Opening of New Stage」として、従来より高精度だった機能解析もさらに対応パターンや合成するモダリティの幅が多くなり、手術支援に特化したアプリケーションも複数展示されていました。
MRI関連では、2つのアプリケーションを紹介していきます。
まず1つ目は「脳脊髄液腔解析」です。3Dシーケンス(理想はGRE)の画像を自動解析し、脳脊髄液、シルビウス腔、側脳室などを自動認識し、体積や比を算出してくれます。正常圧水頭症に特異的なDESH(Disproportionately Enlarged Subarachnoid-space Hydrocephalus)を体積や比率で客観的に評価できるので、診断支援や経過観察に役立ちそうです。
もう一つは「脳区域解析」のバージョンアップです。識別できる区域が26区域→107区域と大幅に増加していました。また、QSM(Quantitative Susceptibility Mapping)やPETのSUV(Standard Uptake Value)とのフュージョンも可能で、頭部領域のマスク画像として、より一層他の検査の価値を向上してくれそうです。
おわりに
全体的に、ユーザーの声をよく反映した技術やアプリケーションが多かった印象です。また、記事では紹介し切れませんでしたが、基礎的な部分からしっかり見直しを行い、ブラッシュアップしている点もユーザーの一人としてとても嬉しく思いました。
以上、富士フイルムグループのMRIとワークステーションに関するITEMレポートでした。
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