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- ★ Presaturation Pulseをより効果的に 〜Motion artifact対策
★ Presaturation Pulseをより効果的に 〜Motion artifact対策
- 2023/10/16
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
各地から新編集委員が集いMRIfan.net新企画をスタートいたします。
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツとなります。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
新企画の第1投稿者となりました新編集委員の市立函館病院畠山遼兵と申します。普段何気なく使用しているPresaturation Pulseについて投稿いたします。
Presaturation Pulseについて考えたことはありますか?
Presaturation Pulseは、パルス系列の前に選択的に90°パルスを印加するもので、血液信号の抑制やモーションアーチファクトの抑制など、さまざまな用途で使用されています。使用機会も多いので詳細な説明は不要かと思いますが、実は落とし穴があり、うまく利用しないとPresaturation Pulse本来の力を引き出すことができません。
皆様のご施設では、同一患者のfollow upであってもPresaturation Pulseによる信号抑制効果に差を認めた経験はありませんか?
図1ではPresaturation Pulseを腹壁に印加したにも関わらず信号抑制効果が弱く、腹壁のモーションアーチファクトが画像内に混入しています。
なぜこのようなことが発生するのかファントム検証を行ってみました。
Presaturation Pulseの幅で抑制効果は変化する
図2はPresaturation Pulseの設定範囲(網目部分)と取得画像を重ね合わせた画像となります。画像を見てわかる通りPresaturation Pulseの設定範囲(網目部分)と信号抑制範囲(黒く信号が落ちている範囲)が一致していません。これはPresaturation Pulseの幅が大きいほど顕著となります。
Slice profileを見てみると、図3のような結果となります。a:信号落ち始め間距離、b:信号抑制間距離 として測定したところ、設定Presaturation Pulse幅の80%程度から信号低下を始め、設定Presaturation Pulse幅の中央50%の範囲が最も効果的な信号抑制となっています。
これを踏まえた上で図1の状況を再考すると、設定するPresaturation Pulse幅が大きいほど空気が多く含まれてしまい、腹壁よりも空気の抑制効果が高くなってしまうことになります。つまり、図1で信号抑制効果が弱かったのは過剰なPresaturation Pulse幅の設定により、腹壁の信号抑制効果が弱くなっていたと考えられます。
患者ごとに適切なPresaturation Pulse幅を設定することで、図4のような信号抑制も可能となります。加算回数やk-spaceの充填法によりモーションアーチファクト対策も可能ですが、まずはPresaturation Pulseを上手に使ってみませんか? 抑制目的とする領域を思い通りに抑制することができれば、Motion artifact対策はより効果的となるはずです!
※使用装置・ベンダーによって抑制効果や抑制範囲は変化しますので、使用機器の特性に合わせた設定が重要となります。
ライター紹介
畠山遼兵(市立函館病院)
当院は日替わりローテのためMRIだけではなくAG・OP・XPも担当しております。MRIが持つ魅力は計り知れず、学生時代からMRIに魅了された一人です。「MRI担当者の能力が、患者の人生を変えることもある」と信じながら業務しております。SIEMENSユーザーではありますが、学会などでお会いした際はぜひお気軽にお声かけください!
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