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完全フルデジタルMRIー Ingenia Elition 3.0T (インジェニア・エリシオン3.0T)
Philipsでは、Ingenia 3.0T(発売継続)のトップエンドの装置として、今回エリシオンという名前の新型MRIを発表しました。ITEM初日 4/13の10時にアンベール (unveil; ベールを脱ぐ)されました。
ブランドネームの “Ingenia” は存続、トップに “Elition” が加わる
Philipsでは、(GEがSIGNAブランドを最近大切にしたように)”Ingenia”の名前を大切にして、それにオプションとしてElition(エリシオン)というトップブランドネームを冠するということにしたようです。
Elitionは、コイルのところまで光ケーブルを配する、真のフルデジタルMRI装置であるとのことです。また後述のように、ガントリ内部のグラディエントを完全新設計としているとのこと。
3つの特徴
特長としては3つあり、(1) 新型のグラディエントシステム(MR装置内)、(2) ほぼすべての撮像法に使える圧縮センシング、(3) インボア・エクスペリエンスと呼ばれる、ガントリ内部からの映像などでストレスを開放すること、から成っています。技術的内容である、 (1)(2)に対して、いただいたスライドで解説します。
新型グラディエントシステム(ゼロエディカレント、高い冷却効率= Duty Cycleの短縮(改善))
↓新しいグラディエントは、「ゼロエディカレント」を謳っています。また高い冷却効率となったので、連続運用ができます。これにより最短TRが短縮します。後述の圧縮センシングに加えて、検査効率をアップします。
↓この2つの恩恵、およびフルデジタル化により、きわめて高い信号取得が可能となり、下記のような、b=10000という超超高b値の撮影が実用的になります。
↓従来の、拡散強調画像用のMPG(左の大きな矩形)のあとに生じているEddy Current。
↓新しいグラディエント。実際にはゼロにはなっていないと思いますが、極めて小さくなっている。このためにDuty cycleが短くできます。高b値でもTEを短くできるわけですね。
広く適用できる圧縮センシングで、一日の検査人数を増加
↓2つめは圧縮センシング(Compressed Sensing; CS)です。今年はまさにCS元年。昨年からリリースが始まり、本格運用の時期となりました。Philipsによれば、ほぼすべての領域の、EPIシークエンスを除くほぼすべての撮影法に用いることができるので、全体として検査時間を短くすることができる能力が高いとのこと。これは全身DWIにも役立ちます(DWIBSそのものは(信号取得効率の上昇を除けば))短くならないけれど、その周りのスキャンがすべて短くなり、あるいは3Dかつisotropic化できるので、革命的に検査時間全体が短くなる、というインパクトがあります。
↓2D, 3Dともに短くなりますし、またsparce(疎)なデータ(たとえばMRAとかMRCPなど)は、高い短縮効果が得られます。
↓ルーチン検査も効率化します。値段はそれなりにしますが、右図のように検査効率が上がると、病院としてはすぐにペイするでしょうし、また患者さんにとっても拘束時間が短くなることが優しい検査ということになりますので、新しい時代が訪れたとも言えると思います。
(目安として15件→18〜20件に増やせる施設が多いようです)
以上、Philipsブースの新型MRI装置(Ingenia Elition 3.0T)の報告でした。
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