ISMRM2017 Philipsランチョンセミナー Compressed SENSE, APTイメージング

Philipsは3日目に行われました。

 

高性能勾配磁場

まずやっぱり勾配磁場のことです。新しいHigh performance gradientsが(最大傾斜磁場, slew rate)100/1200, 200/600であるという数値が発表されていました。serial / parallel の意味の違いは調べてまたご報告します。

最初のほうに示されたスライドは、今までの開発の歴史です。毎度の提示ですがこれって助かるかも。だんだん用語が増えてきて、ずっとMRIをやっている人も、どうやって発達してきたかわからなくなってきていますからね (^^;)

右側拡大します。最近の重要なところでは、mDIXON(脂肪抑制)、mDIXON TSE、MultiVane(動きに強いTSE)、mDIXON Quant(脂肪定量)、Black Blood、あとCINEMA(ASL)もあります。

次のスライドは、Innovationのスピードをあげる、ということで、一機種あたりの発表数一番を目指す、開発期間1年以内、(開発したアプリの)適用80%以上を目指すようです。

最近上梓した8つのアプリケーションを表示していました。

Compressed SENSE (Compressed Sensingは「臨床画像」6月号に掲載)

次のスライドは、高速化の歴史とこれからです。最近、dS SENSEになりSENSE factorを高くしてもアーチファクトが少なくなりまいたが、Multiband SENSEで複数枚撮影、Compressed SENSEで更に高速化をし、Spiral scanも揃えていくようです。

Compressed SENSEにとくに力が入っているのがPhilipsの特徴で、body, cardiac, vascularにも適用できるため、スキャンの78%をCSでできる、ということでした。

現在開発中のSpiral TFEの撮影結果を示しています。

定量化

もう一つ大切なのが定量化です。mDIXON Quant, 3D ASL Quant, APT QuantのあとにMR Fingerprintingが掲げられていました。

3D ASLの結果の再現性が良いことを4回の撮影結果で示しています。

APT weighted imageを示しています。

Intelligent data analysisとdeep learning、artificial intelligenceを目指していくスライド。

フィリップスの工場の壁に書かれていること

これはとても良いスライドだと思いました。ちょっとぼやっとしていて話の脈絡がわからなかったのですが、フィリップス本社にこのように書かれた壁があるとのこと

拡大するとこのようですが、

「私達がしていること(仕事)が患者さんにつながっていること、また患者、主治医、また患者家族は我々を頼っているのだということ、を忘れないように」と言った意味です。これ、プロフェッショナルな仕事として医学に携わっている時、なるべく科学的に見ようという訓練をするあまり、画像の向こうで泣いている人が見えなくなるときがありますから、とても大切なことだと思いました。


APTイメージング

次は小児病院の先生からの、臨床画像の発表で、APTイメージングについて語られました。

  • APTは腫瘍の悪性度に関連して増大する
  • APT信号は腫瘍(内の)嚢胞において高値であること
  • 術後評価に有用な可能性があること。
  • 不均一な腫瘍の性状を把握して治療に役立てること

がサマリーに書いてあります。

REACT

そのほか、REACT(Relaxation Enhanced Angiography without Contrast & Triggering)の例が示されました。

 

画像としては、動静脈の両者が表示されますが、造影MRAに比較して血管腫などの分布を把握するのに優れているようです。

Compressed SENSE

後半はCompressed SENSEの話でした。前述したように非常にこの分野に気合が入っています。

Philipsでは相当いろいろなところに使える(ようになる)ようです。

そしてSENSEの下にスイッチが置かれ、SENSEと同じようにCS-SENSEを用いることができる操作系になるようです。特殊なものではなくて、通常のオプションの一つとして使えるようにする配慮は良いと思います。

画質は非常にきれいでした。加速割合がそれほどでもありませんが、実用的な画像を示しているとうところはちゃんとした人が評価している感じを受けます。

Motion Artifactsも減るようです。

これ!ぜひこれに使いたいです。3D-GRASEもあるけれど、3D-TSEでできたら切れ味がよくなりますね。女子医のデータだったように思います。

3D-T1 mDixonも短時間撮影可能になるということでした。

以上、Philipsのランチョン報告でした。

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tarorin東海大学工学部 医用生体工学科 教授

投稿者プロフィール

MRIの撮像・フィルム焼き・患者導入に従事していた経験を活かし、企・技・医の中間の立ち位置を大切にしています。モットーは研究結果を中立的に判断すること、皆で研究成果を愉しむことです。

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