「患者の申告体重と測定体重の誤差」‐検査前に患者体重は計るべき?

申告体重とはるかに見た目が違う…

皆様、日頃の検査では安全に十分注意され検査を施行されていることと存じます。このサイトでもMRIの安全性においては沢山の情報を上げていただき、とても勉強になっております。私も色々なことに気を使いながら検査を日々おこなっているのですが、一つ考えさせられる出来事がありました・・・

(見た目が申告体重とはるかに違う・・・)

皆様もこんな体験はあったでしょうか?この件で何人かの技師の知人に、検査前の体重を計測しているかどうか聞いてみると、「計っている」という声が少ないのです。そこで実態について研究しました。

対象は20歳以上の患者152名(男性69名,女性83名)。自己申告の体重と検査前に測定した体重を比較いたしました。

結果をグラフにまとめました。グラフはすべて縦軸が人数,横軸が体重(申告値-測定値)です。

図1 男女別

図1:申告値マイナス測定値(男女別グラフ)
申告体重より2kg以上の誤差がある割合は全体で28%,5kg以上の差がある割合は約7%でした.男女ともに過少申告(グラフの右のほう)が多く見られました。男性のほうがやや過少申告の割合が多いようです。

図2 年齢別

図2:年齢別グラフ
49歳以下,50~69歳,70歳以上の3段階に分けました.こちらも大きく外れることは無く,若いから・・・もなさそうです.

図3 体重別

図3:申告体重別グラフ
60kg以下,61~79kg,80kg以上と分けました.体重の多い方が過小申告が多い傾向が認められます。

図4 測定日別

図4:最終測定日別グラフ
1日以内,一週間以内,測定日が離れるほど誤差が出てくる割合が多かった.

 

結果要約

測定人数が少ないですが,今回の測定に関して統計学的有意差はありませんでした.簡単に結論付けると「必ずしも患者の体重申告に関し,間違いが起こるとは言えないが,起こりえる事象が少なくとも無いわけではない」と考えました.有意差が出るほどの誤差が出ているのであれば,皆様もお気づきになっていると思います.少ない事象だからこそ,あまり気にされずに検査をされていたことがあったかもしれませんね.体重と安全性の関係を考えると,RFパルスに関すること(SAR,発熱),造影剤のGd使用量(NSF)が大きな問題かと思います.体重を多く入れてしまうと結果的にW/kgの関係からRFパルス照射量が変わります(ただし,現在の機械はかなり調整していると聞いております).SAR表示するタイプの物はこちらから計算されているはずなので,計算上と違うSARの値になります.以前こちらでもあったステントの話などもありますので,ますます注意が必要になります.また造影剤においてはNSFの問題から,適正な使用量を使うべきです.かなりさっくりとお話をしてしまいましたが,今後は「こういう発表があった」ということで,見た目があやしい人にはどんどん体重計に乗ってもらってください.皆様これからも医療事故に気をつけて撮像いたしましょう.

 ライター紹介

長岡 学 (JA神奈川県厚生連 相模原協同病院)

いつも色々なことに興味を持ち,勉強しております.ただ,体は一つなんですよね・・・.目の前のことを一つ一つしっかりと積み重ねていきたいと思います.見かけたら気兼ねなく声かけてください.いろんなところに出没しております(笑).
長岡 学

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