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Body DWI研究会参加後の川崎幸病院におけるDWIBSプロトコールの改善
- 2015/4/8
- Other Writers, Philips, 創意工夫
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先日開催されたBody DWI スタディグループ研究会に参加をさせていただき、そこで学んだことをもとに「全身DWI」プロトコールを変更したので報告します。
当院の患者背景
当院は2年半前に新病院を設立し、その機会にMRIが2台体制となりました。それまではGE社製の1.5T装置のみでしたが新たにPhilips社製のIngenia1.5Tを導入いたしました。Ingenia1.5TではSENSE factorを4~5まで上げることで歪みの少ないDirect Cor DWIの撮像が可能であるため、Ingeniaの導入を契機に「全身DWI」の検査を開始することとなりました。当院での「全身DWI」は消化器外科や乳腺外科からの依頼がほとんどであり、依頼内容もmeta検索が90%近くを占めます。
従来の撮像プロトコール
従来、「全身DWI」は頭頂部から足のつま先まで5 stationのDirect Cor DWIとDirect Cor single shot TSE T2WIを撮像し、総検査時間は約40分かかっていました。これは当院には骨シンチやPETといった核医学がないために読影医から末端骨までDWIで観察したいとの要望があったからです。また、検査後の処理もDWIを正面視したMIP像を作成するのみでした。具体的な撮影結果(DWIBSのMIP画像、SSTSE画像)を示します(図1)。
図1:胃癌の多発転移症例(5 stations)
しかし研究会で数多くのご講演を拝聴しまして、「膝窩以下の末端骨の評価は重要でない(meta発生頻度が低いので、初発metaを検索するときは省略しても良い)」という泌尿器科の先生のご意見を聞いて、当院でも撮像範囲は頸部から骨盤底までと変更(=DWIBSはstation数を減らす)することにしました。
改善したプロトコール
この範囲ですと2~3 stationで撮像することができるので撮像時間は格段に短くなります。また撮像シーケンスもmeta検索の場合は、DWI Cor + SSTSE T2WI Corだけでなく、 T1WI COR, STIR Sag, T1WI Sagも追加しました。T1WI Corは少し広く、3~4 stationとし、頸部から膝窩までの範囲をカバーしています。DWI以外の撮像は1 stationあたり1分40秒前後であるため検査時間も従来とほぼ同じ約40分で終わります。同じ検査時間でコントラストや撮像断面が増加することで病変の把握が容易になり読影医からも良い評価を得ることができました(図2)
図2:乳がん骨転移症例
撮像パラメータはBody DWI研究会で発表されたものを参考にしました。装置などの制限によりBody DWIを行えない施設もあるかと思いますが、Body DWIは病変を検出するのに非常に有用なtoolなので今まで以上に普及することを期待致します。
ライター紹介
中 孝文(社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院)
Chief editor’s comments
中さんは、2回めの投稿なので、著者(Writer)カテゴリーに、「Naka」という項目が新設されました。これからもよろしくお願いします!
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