スライス設定を工夫するだけで、Diffusion weighed MR Neurographyの描出能が改善!

昨年度行われたSigna甲子園2014で発表したDiffusion weighed MR Neurography(DWN)描出能改善方法について紹介します。

背景

DWNでは2D撮像で得た画像をMIPやMPRなど3D画像処理を行い観察します。その際、通常に撮影すると図のように画像に階段状アーチファクトが生じます。

スクリーンショット 2015-12-24 22.45.12階段状アーチファクト

スライス設定の工夫で、DWNの神経の描出が変わる!?

このアーチファクトを改善するために、体軸方向の分解能を向上させる工夫を考えました。2つのSlice groupを互い違いに設定し、擬似的なZIP効果を得ようと試みました。

なお撮影方法は下記に準じます。b値は800でAP方向1軸に印加します。

“Diffusion-weighted MR neurography of the sacral plexus with unidirectional motion probing gradients”
Eur Radiol (2010) 20: 1221–1226
Taro Takahara, Jeroen Hendrikse,Thomas C. Kwee, Tomohiro Yamashita, Marc Van Cauteren, Daniel Polders, Vincent Boer, Yutaka Imai, Willem P. Th. M. Mali, Peter R. Luijten

 

それではその方法について説明します。計画には2つのSlice group を利用します。以下の手順でプランニングします。撮影時間に関しては、後ほど述べます。

①Slice group1と撮像枚数を1枚少なく設定したSlice group2を作成します。
②この2つのSlice groupのX,Y,Zの3軸とも同座標にします。
GEHC社製MRI装置では各計画画面上で『Reset center』を利用することで、同座標に設定できます。詳しくは〝Signaる〟を参考にしてください。
③するとSlice group1とSlice group2は偶数枚数と奇数枚数であるため、

スライス位置が0.5スライスだけズレた状態となります。これで計画は終わりです。

スクリーンショット 2015-12-10 22.16.01

本法の使用上の注意

2つのSlice groupを互い違いに組み合わせ、そのまま撮像しても、下の左側の画像(Acqs.2)のようにまだ階段状アーチファクトが生じます。これは隣接したスライスのスライス選択励起パルスが干渉することで、信号低下したと考えられます。(クロストークの影響)

そこで、隣接したスライスどうしが干渉しないようにスライスの励起順を変えます。励起順を変えるにはアクイジション回数を変更するのですが、GEHC社製のMRI装置では直接的にアクイジション回数を変更することはできません。入力したTR内で設定可能なスライス枚数以上の枚数を設定することでアクイジション回数を変更できます。つまりスライス枚数とTRの両方またはどちらか一方を調節し間接的にアクイジション回数を変更します。

下の画像はSlice group1が50枚、Slice group2は49枚の計99枚を1度に撮像したものです。TRは10000msです。1回のTRでは処理しきれない数のスライス数であるためアクイジションは2回になります。(撮影時間はTR10000ms時の2倍になります)

TRを10000msから8000msに短かくすることでアクイジション回数を2から3に変更したのが右の画像です。(撮影時間はTR8000ms撮影時の3倍になります)

このように、アクイジションを変更することでアーチファクトが軽減できていることがわかります。

スクリーンショット 2015-12-10 22.16.27

ただし、アクイジション回数を増やすだけではこのアーチファクトを軽減できないことがあります。

わかりやすく説明するために、Slice group1の撮像枚数が10枚、Slice group2は9枚としたときのアクイジション回数とスライス励起順との関係で説明します。
スクリーンショット 2015-12-10 22.16.32

スクリーンショット 2015-12-10 22.16.44

アクイジション回数を変更するとスライスの励起順は異なりますが、アクイジション回数を増やし、分割し撮像しても分割した組の中に隣接したスライスどうしが含まれると互いに干渉してしまいます。この例で言うとアクイジション回数2,3,5が該当します。

2acq 1st(1と11,3と13,5と15,7と17,9と19)2nd(2と12,4と14,6と16,8と18)
*スライス1の次の横のスライスはスライス11になります。こういう組み合わせがあると、クロストークの影響が懸念されます。

3acq 1st(4と13,7と16,10と19)2nd(2と11,5と14,8と17)3nd(3と12,6と15,9と18)

5acq 1st(1と11,6と16)2nd(2と12,7と17)3nd(3と13,8と18)4th(4と14,9と19)5th(5と15)

それに対して、アクイジション回数4の場合では隣接するスライスの組み合わせがないためアーチファクトの影響を軽減できることになります。これはあくまでも例ですが、本法を利用する場合は、撮像枚数とアクイジション回数の組み合わせにより励起する位置が変化するため、あらかじめ撮像枚数とアクイジション回数の最適な組み合わせを探す必要があります。

通常のスライス設定方法との比較(スライス計画以外は全て同じ条件)

スクリーンショット 2015-12-10 22.17.13

従来通りに撮像したものと本法で撮像したDWNを見比べると、一目瞭然。明らかに本法の方が神経の描出能が向上していることが見て取れます。また2つのSlice groupを組み合わせることにより、スライス間が補完され、体軸方向の分解能が改善されるため、階段状アーチファクトも軽減できています。撮像時間は通常の撮影法では1分30秒で撮像を行っていますが、本法では2分48秒と約2倍の時間で撮像をおこないます。

最後に

このように計画をひと工夫するだけでDWNの描出能を簡単に改善できます。また、この方法はどのMRI装置でも対応可能な手法であり、汎用性の高い方法だと考えます。是非試してください。

ライター紹介

image1

東海大学医学部付属八王子病院の藤川博司と申します。技師歴は5年目で、MRIに配属されて4年目となりました。「装置の能力を最大限にいかす」をモットーに日々勉強する毎日です。

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