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関節リウマチ2 ~米パッドによる脂肪抑制~
- 2014/11/26
- Any Modality, 創意工夫
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前回、両手を同時にうまく撮像する体位とセッティング方法をご紹介しました。
それでは、どんなシーケンスで撮像するのが良いのでしょうか?
この撮像の目的は、早期リウマチにおける手の炎症性変化を見ることです。X線撮影で関節の変形・破壊が認められない早期の症状として関節内では滑膜炎、骨髄浮腫、骨びらんなどの炎症が起きています。
“脂肪抑制画像!”
炎症性変化を撮像するには脂肪抑制T2強調画像またはSTIRと造影後脂肪抑制T1強調画像を撮像します。
しかし、四肢末梢領域では静磁場の不均一により脂肪抑制の不良が生じます。
下図をご覧ください。
CHESSにおける、脂肪抑制T2強調画像(左図)では特に親指近くの抑制が効かないことが多々あります。脂肪抑制T1強調画像でも同様に脂肪抑制不良が生じます。
ルーチン検査として造影しないのであればSTIR(右図)で病変の存在診断は可能です。
しかし、早期関節リウマチの診断には、自治医科大学教授・杉本先生が始められた「造影剤を使用した脂肪抑制3D-T1WI」で示されるとおり、Dynamic撮像による滑膜炎の活動性の評価や骨髄浮腫などの存在を指摘する必要があるため、脂肪抑制は必須なわけです。STIRでは造影後はだめですよね(自由自在 第2版:P105参照)
脂肪抑制をうまく効かせるには・・・
我々の施設では、近年、学会などでもその有用性が多く報告されている米PADを使用します。[Susumu Moriya, et al. Improved CHESS imaging with the use of rice pads. Journal of MRI. 2010 June 31(6) 1504-1507)] その方法をご紹介します。
まず用意するものは、大き目の枕カバー、ストッキング、適当な袋です。この中に、お米を入れてこぼれないように、しっかりと閉じてください。
手の下に大きい米PADを置きます。このとき気をつけることは、左右大腿の隙間(赤丸)を埋めるように、米PADを置くことです。下左図のように手と足の間に”air”の領域が多いと磁場の不均一がおきやすいため、この隙間を人体と磁化率が近いとされる“お米”で埋めることにより磁場の不均一が改善されます。
次に下左図のように左右の親指上に小さめの米PADをのせます。これで親指近辺の磁場不均一も改善されます。最後に下右図のように手根骨を含むように米PADをのせて検査を開始します。
下図は脂肪抑制画像です。両手間の”air”部分を米PADで埋めることで親指側(赤矢印)の抑制効果があらわれています。
また、Dynmic撮像などは3D-FEシーケンスで行いますが、磁場不均一により画像が大きく劣化することがあります。しかし米PADをセッティングすることで磁場の不均一が改善された画像が描出されます。
今回は、米PADを使った両手の脂肪抑制のコツを紹介しました。
米は市販のSat Padに比べ安価で入手しやすく、重量も軽いため補助具としては最適と考えます。また、枕カバーに封入することで形状を自由に変化させられるため、”air”などの隙間を容易に埋めることが可能です。
様々な場所に使用可能なので、一つ作っておけばいざと言う時に威力を発揮すると思います。
ただし、米PADを厚くしすぎるとコイルから離れすぎて感度が悪くなりますので使用コイルを確認してください。
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