COSMICを使った横断像による半月板損傷の描出 ‐むちゃぶりは宝の山‐

むちゃぶりオーダー

診療放射線技師として仕事をしていると、 医師からの“むちゃぶりオーダー”に困った経験をされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

ある日、膝関節の検査を行っていた際に
「横断像で半月板断裂の程度を把握できる画像を撮ってくれ」
と言われました。 言いたいことは理解できますが、難しいことを簡単にお願いしてくるな〜と思いました。しかし出来ないと言うのもプロ意識に欠けるので、どうにかして横断像による半月板断裂が評価可能な画像を出してやろうという思いで検査を行いました。

MRfan

提示画像は、右膝内側半月板損傷radial tearの症例です。

撮像シーケンスと撮像条件

脂肪抑制併用3D Coherent Oscillatory State acquisition for the Manipulation of Imaging Contrast: COSMIC

COSMICは、balanced-SSFPシーケンスの一法で、start-up/slow-downセグメント(スタートアップエコー)の採用により安定した移行域の信号が利用できることが特長で、T2/T1が小さい組織のコントラストを改善しています。またradial fan beam centric法がシーケンスデザインに組み込まれ、短時間かつ高SNRな撮像を可能とします1)

詳細な撮像条件は以下になります。

TR6.8ms, TE3.3ms, FA45, Matrix 224×384, FOV120mm, Th 0.8mm, ZIP 2
画像再構成によりoblique axialによるpartial MIP (Th 1.6mm)した画像です。

半月板は厚い部分でも5mm程度であり2Dでの描出は難しくなることから、3D撮像によるthin slice撮像が有用となります。今回のように撮像対象が薄くなる場合、空間分解能、スライス分解能、SNRのすべてが求められます。このような対象の撮像条件を調整する作業は非常に難しい仕事です。しかしCOSMICでは、高分解能撮像で十分なSNRが担保されているにもかかわらず2m31sで撮像が可能であり、通常の検査で行っても差支えのない時間で追加撮像を行うことができます。またbalanced-SSFPシーケンスではdark bandを防ぐため、可能な限りTRを短くして撮像を行う必要がありますが2)、small FOVによる撮像であるため、比較的長めのTRであってもdark bandは出現しません。以上、結果的には大した工夫もなく半月板の体軸断による断裂の評価が可能となる画像を提供することができました。

むちゃぶりオーダは……………

最初は無理だと思われた依頼が、 ほんの少しの撮像条件の調整で、無理では無くなると気が付かされた症例でした。無理だという決めつけは発想の幅を狭くさせます。 もしかすると“むちゃぶり”は、われわれにとって新しいアイデアの宝の山なのかもしれません.

1)MRI応用自在 第3版 p109-110, MEDICAL VIEW社
2)巨瀬勝美: NMRイメージングp132-143, 共立出版社

ライター紹介
五十嵐 太郎 (一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院 放射線科)

2014-01-25 20.00.21

仕事は毎日行わなければならないので、少しでも楽しいほうがいいです。そういう意味ではMRIは最良のモダリティーです。新しい発見を探しながら、力を入れすぎず抜きすぎず、適度な加減で毎日MRIをやっています。

GEのイベントであるSigna甲子園2013で昨年金賞を頂きました。

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