古典的な術を今に活かす! ”2D” thick slice 造影 MRA

数十年前からある古典的な術だけど ”3D”人気の陰であまり注目されずにきた、”2D” thick slice 造影 MRAを紹介します。

古典的な”2D” thick slice 造影 MRA

Prince1)らの論文に感化されて造影MRAを始めた頃は装置性能も悪く、3D法においては数十秒から数分の時間を要して1時相のMRAを得るのがやっとでした。また、撮像のタイミングを図るために、滴下注入を施したり、K空間走査に工夫を施したりと、今のように簡単に撮れる状況ではありませんでした。
こんな時代、タイミングを図りつつ、適当な時間配分で複数の時相画像を得るための手段として細々と利用されていたのが”2D” thick slice 造影 MRAです。(主に四肢領域に利用できる手法です。)

撮像方法

撮像方法は実に簡単。①50mm~100mm程度の厚いスライスの2D法(T1系GRE法)に脂肪抑制*1を加えてダイナミック収集を行う。②差分を施す。これだけです。時間分解能がめちゃくちゃ良いので、特段タイミングを図る必要はなく、造影剤投与中にダラダラと撮像するだけでも図のような画像が得られます。

*1:スライスの厚みによるコントラストの低下を極力抑えるため、脂肪抑制を施したうえに差分を行うのが適当です。

↓膝窩動脈の“2D” thick slice 造影 MRA。(正常例)昔ながらの血管造影likeな見え方が新鮮に感じます。

膝2DCMRA

↓この画像は12年前に撮られたものです。当時の装置でも2方向*2のDynamic 収集が可能でした。(3.0sec/1location 1phase)

2Dcmra

*2:腰椎AXIAL等の撮像で用いられているマルチスタックの手法を利用して同一部位の冠状断と矢状断を交互にダイナミック収集を行ったもの。図は冠状断と矢状断の時相が3秒程ズレています。

イマドキの装置で“2D” thick slice ?? 「ありかも!」

↓現在の装置パフォーマンスを駆使すると、400~800 ms 程度毎の濃染変化を観察することができます。

大腿腫瘍

「イマドキ、3Dでも十分に時相変化を捉えられるんじゃない!?」と言われそうですが、2D法ならではのms単位の濃染変化とリアリティ豊かな描出能には捨てがたいものがあります。
こんな“2D” thick slice 造影 MRA「ありかも!」って思いませんか?

1)M R Prince:Dynamic gadolinium-enhanced three-dimensional abdominal MR arteriography.Journal of Magnetic Resonance Imaging (impact factor: 2.7). 3(6):877-81. (1993)

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