拡散歪みを逆手にとった簡易DWIBS法

こんなとき、どう対処しますか?

「病変がコイルの感度範囲を超えて進展していた。」「病変が複数箇所に散在しているかもしれない!」このようなケースをたびたび経験します。こんな時、どんな対処を施しますか? コイルチェンジや寝かし直しをして追っかけますか? それとも諦めますか?

内臓Bodyコイルで撮像するDWIBS

可及的対処策として、内臓ボディコイルで簡易的に撮像するDWIBS法を紹介します。
「内臓ボティコイルでのDWIでは歪みが強くてダメなのでは?」と思っていませんか?

いえいえ…
図1は内臓ボティコイルによって撮像した症例(悪性リンパ腫・転移性骨腫瘍)です。

BodycoiDWIBS002

図1*

拡散強調の歪みは収集プロファイル数に大きく依存します。通常は、parallel imagingやRectangular FOVなどを利用して、実収集するプロファイル量を可能な限り“間引き”し、歪み影響の軽減を図るのが一般的です。しかし、parallel imagingを利用できない内臓ボディコイルでは、歪み影響が増大し、時として図2のようなひどい画像になります。

BodycoiDWIBS001

図2*

歪みの方向依存性を利用

拡散の歪みは、Single shotEPIに起因する位相分散の累積によって生じる歪みと、MPG印加に伴う渦電流影響による歪みがあります。このうち、位相分散の累積によって生じる歪みは、位相エンコード方向へ間延びするように強く生じます。すなわち方向依存性を伴います。これに対し、渦電流による歪みはMPGの印加軸毎に複雑な歪みを呈し、また、読み取り間の歪みも加わることで、一層複雑な歪みを呈していきます。

装置の特性によって歪みの影響は異なるようですが、PhilipsのMRI装置の場合、方向依存を強く呈しています。この特徴を逆手にとり、歪んだ方向に直行するMIP画像(歪み影響の少ない方向画像)のみを活用したのが図1です。また、反対に歪んだ方向から眺めた画像が図2です。実は図1も図2も同じ撮像画像なのです。

拡散歪2(AP)n拡散歪1(RL)n歪みの方向性を上手く利用すれば、Bodyコイルの利用であっても、ある程度の情報を得ることができます。また、位相エンコード方向を変えて撮像すれば、側面像も得ることが可能です。(投影像のみの利用に限られますが…)

06 PARIS_OSAKA *上記図(悪性リンパ腫)および図1・図2の正面・側面像は夫々別に撮像されたものです。撮像は24cmの範囲を1区画として2分16秒全身を4区画に分けて合計9:04minで撮像しました。
上記図の右上段は、位相エンコード方向に直行したMIP像。下段は位相エンコード方向に平行なMIP像。
見る方向によって歪み方がこんなに違います。

DWIの元画像の重要性を考えると歪対策は必須です。また、近年のコイル事情を思えば、比較的広い範囲を容易にカバーすることができ、こんな対処策は不必要かもしれません。
加えて言えば、適正な条件でちゃんと撮ってもらうのが一番!

でも、コイル環境がなかなか整わない施設や、想定外の出来事に対処する一策として知っておくと、いつか役立つ時が来るかもしれません。

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Tanji

Tanji北福島医療センター 画像センター 放射線技術科主任

投稿者プロフィール

MRI専従歴25年超。温故知新をモットーに今も業務に励んでいます。興味処のキーワードは躯体部・乳腺・脊椎・拡散・脈管・パルスシーケンスなど。

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コメント

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  • コメント (2)

    • 木村哲哉
    • 2014年 11月 15日

    まさに目からウロコの発想ですね!
    ただし、信号の重なりによる高信号には要注意ってところでしょうか?

    • Tanji
      • Tanji
      • 2014年 11月 15日

      高信号の重なり… ご指摘の通りです。気になるときは位相方向を変えて2方向撮ることをお勧めします^^

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