腰椎MRIの注意点

体内で何かが起きてる!という疑問から生まれた検討

<研究背景>
意識レベルが低下している患者さんの検査では体動を考慮して高速撮像や体動補正等を利用していると思いますが、痛みを訴えている患者さんの検査でも体動を考慮して検査に臨んでいるでしょうか?腰椎MRIの撮像体位は腰部や背部に痛みを訴えているにもかかわらず基本は仰臥位で撮像しています。そのため患者さんは検査途中で少しでも痛みを和らげるために安定な体位へと変位しているのではないか?という疑問を抱いたため経時的にどの程度腰椎が変位しているのか調査しました。

<調査方法>
対象は腰痛や下肢痛を主訴に腰椎MRIルーチン検査を実施した患者。当院の腰椎MRI撮像ルーチンは①Scout 3方向②T2WI 矢状断像③T1WI 矢状断像④T2WI 横断像の順で撮像しています。評価方法は撮像ルーチンの合間にsingle shot T2強調(SST2WI)矢状断像を追加し撮像開始時位置より最も変位した測定ポイント(椎体上下後縁)を用いて撮像開始時を基準として頭尾方向の変位を各シーケンスで計算しました。このとき腰椎がどのシーケンス撮像中に最も大きく変位したかtypeⅠ-Ⅳに分けました。

結果

①②

考察

最大変位を示した例ではT2WI 横断像で約80%頭尾方向の変位が生じています。臨床画像上では頭尾方向へ変位量が増えるに従い両側椎間孔が狭くなっているように見えます。今回の調査で約半数の患者さんは検査中に腰椎が変位しているため撮像中に腰椎が変位するものだと念頭に入れて検査に臨む必要があります。
 対策は①予めスライス枚数を増やしておく②可能な限り直前の画像を元に再度位置をプランニングする③患者ポジショニング時に筋肉を解くような姿勢を患者さんに促す等が挙げられます。
 また当院放射線科医に相談したところT2WI 矢状断像とT1WI 矢状断像の撮像順序を入れ替えてもよいのではないか?、と助言をいただきました。理由はT1WI 矢状断像でも椎間板の評価が可能であり、さらに転移性骨腫瘍もT1WI 矢状断像の方が評価しやすいため、とのことでした。
③

余談

2014年「腰痛学会」に初めて参加してみました。腰椎の話題のみでしたが熱い話が聞けてとても勉強になりました。実は日本の腰痛の85%は非特異的腰痛(原因が特定しきれない腰痛)であります。この85%の中の腰痛の原因特定にMRIをもっと役立てたいと思っています。そういう私は一度も腰痛になったことがありません。

参考URL:
・日本腰痛学会:http://jslsd.jp/index.html
・腰痛の原因:What can the history and physical examination tell us about low back pain? JAMA 268: 760-765, 1992

<ライター紹介>

赤津 敏哉(筑波メディカルセンター病院)

技師歴7年目ですがMRIに関わって3年程とまだまだ未熟者です。MRI業務時は常に疑問に思う気持ちを忘れず仕事をしています。趣味はマラソン、トレイルランニング、テニスなどアクティブに活動しています。自分の研究テーマをこのような有名なサイトにアップできましたのは、ひとえに当院先輩(小林 智哉 氏)方や筑波大学サイバニクス研究センター 五月女 康作 氏のご指導の賜物と心から感謝申し上げます。

図4

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