ITEM初日にお伝えした東芝メディカルシステムズ(株)のMRブース。展示されていた装置のさらなる詳細情報をお伝えしたいと思います。今回展示されていた装置は、1.5TのVantage Elanと、新しく開発が進められている3T MRIで、これに搭載される最新技術が紹介されていました。
■Vantage Elan(1.5T)
2013年に発売された”Vantage Elan”は年度別、1.5T MRIで納入台数ナンバーワンだそうです。その要因はやはり省スペースへの設置ということだと思います。
注目は展示の赤エリア部分です。MRI検査室の最小スペース約16m2(約10畳)を示しており、非常に狭いスペースに設置できることが実感できます。寝台を一番手前まで引き出した状態ですと、一人通るのがやっとの感じでした。また、アプリケーションソフトウェアとして、M-Power V3.1を搭載し高精度な検査を低コストな検査環境で行うことを可能としています。
■新3T装置および新技術(薬機法未認証品)
新しいデザインの3T装置が参考展示されていました。見た目は今までと変わらないように見えますが、様々な新しい技術の製品化を目指し、以下の開発が進められているそうです。
1.画質の向上
新RF送信技術
電波送信の際の漏れ電波をシールドで抑え、送信効率をアップする技術です。より理想の電波を送信する事が可能となり、SNRを向上させるそうです。
また、シールドにより発生する渦電流の低減技術に対する取り組みも行われています。
新RF受信技術
装置本体から出てくる電子ノイズを低減する技術です。
従来ではAD変換を信号受信直後に行っていても、電子ノイズの影響でSNRが低下していました。電子ノイズの発生自体を抑えることにより、従来と比べてSNRが向上します。
言葉でお伝えするのが難しいですが、これは情報が入りましたらまた報告したいと思います。
2.コンパクトな設置スペース
ELAN(1.5T)だけではなく、新3T装置も省スペースへの設置が可能になります!隣に展示してあったVantage Elanが16㎡ですので、比べてみると3T装置として非常にコンパクトに設置できることが実感できました。既存のMRIを設置している部屋でも柔軟な設置提案が可能なように、設計検討がなされている様です。
3.検査環境の改善
東芝メディカルの得意な静音技術Pianissimoが進化しています。従来のPianissimoは90%の騒音低減ですが、最大で99%までの低減を実現するそうです。実際に音を聞きましたが、確かにほぼ無音の検査音となっています。耳栓はいりません。音楽も聞けて、リラックスして検査を受けられます。
また、患者さんにやさしい検査環境の提案として、Bore内全体に映像を投影する技術を展示していました。
新しいアプリケーション!
印象に残ったこの2つご紹介します。
一つ目は、 UTE (ultra short TE) を用いた血管撮像技術です。TOF と比べて非常に短い TE で撮像するため、偽狭窄の少ない画像が得られていました。また、一回のスキャンで他時相の撮像をするため、短い TE での MRA 撮像で問題となる末梢の血管もしっかりと描出することができていました。さらに他時相スキャンの為、血行動態の観察も可能だそうです。
二つ目は、各社で話題の、Computed MRI です。
2つの画像を収集した後に、計算処理を行うことで T1WI,T2WI,FLAIR, DIRなど7種類の画像が作成でき検査時間の大幅な短縮が可能となります。GEのMAGiCのようですが、根本が違うようで、詳細な発表を待ちたいと思ます。東芝ワークステーションである Vitrea のプラットホーム上で作成できるため、ネットワーク上の複数端末でのリアルタイムなパラメーター変更が可能で、より臨床で使いやすい印象を受けました。これは、画像解析メーカの オレアメディカル社の開発だそうです。
今後について
これからも東芝メディカルMRI装置の進化が期待できるITEM2016でした。
東芝メディカルニュースリリースによると、さらに革新的な技術を融合させ、早期の製品化を目指すとの事です!
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。