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★閉所恐怖症患者の検査におけるちょっとした心遣い
- 2025/7/4
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです。
等潤病院の鈴木大介です。今回は、閉所恐怖症患者さんの検査におけるちょっとした心遣いについてまとめましたのでご覧ください。
閉所恐怖症
閉所恐怖症とは、狭い空間や密閉された場所に対して強い恐怖感を抱く不安障害の一種であり、日常生活に大きな支障をきたす場合があるため、適切な治療が必要となる疾患です。
MRI検査はパニック発作を引き起こす状況の1つです。閉所恐怖症の人にとって、あの閉ざされた空間は恐怖でしかないと思います。かくいう私も閉所恐怖症です。MRI検査が苦手、怖いという気持ちは痛いほどわかります。
そんな私が閉所恐怖症の患者さんの検査の際に気をつけていること、工夫していることをご紹介します。
ちょっとした工夫
・事前の検査説明、検査中の声掛け
閉所恐怖症の方は検査を受ける前に大きな不安を抱えています。特に初めて検査を受ける患者さんは「どのような検査を行うのか」という不安がありますので、検査の説明は非常に重要です。
検査前には、「今日は〇〇を撮る検査で検査時間は約〇〇分です」、「緊急用のブザーをお渡ししますので、辛くて無理だと感じたら我慢せずに押してください」、検査中には「これから大きな音がします」、「〇〇分の撮像が始まります」、「検査は残り〇〇分です」など細やかな声かけが不安を軽減することに繋がります。
・体を固定しない
検査を行う際、体動抑制や安全面からベルトで固定する事が通常であると思います。しかし、固定されて身動きがとれない状態は非常に苦痛です。私も両腕を固定された状態は耐えられません。
患者さんにしっかりと検査の説明を行い、安全性が確保されていることを前提に固定ベルトを使用せずに検査を行うことも工夫の1つです。ベルトを使用しないことで苦痛を軽減することができます。
・ヘッドコイルには鏡を装着、オープンヘッドで検査
頭部検査などでヘッドコイルを使用する場合、顔の前にコイルを装着する必要があると思います。顔の前にカバーをする状態になりますので、非常に圧迫感があります。この圧迫感を少しでも軽減させるために、鏡を装着することをおすすめします。当院の装置の場合は、斜めについた2枚の鏡によって足元が見えるようになり、圧迫感が和らぎます。
何も見えないほうが安心できるという方は、アイマスクの使用が有効です。狭さを認識する前に検査を始め、そのまま終えることができますので、事前に準備をしておくことをおすすめします。
また、コイルを外した状態で検査ができる装置もありますので、圧迫感を低減させる方法として有用です。

・足側からガントリーに入る
ガントリーに入る際、頭側から入るか足側から入るかで不安感は大きく違います。足側から入る方が精神的に楽だと感じることが多いと思いますので、腹骨盤部や下肢の検査の時など足側から入ることが可能な場合は有効な手段です。
・音楽をかけて少しでもリラックスした状態に
当院では、少しでもリラックスした状態で検査を受けてもらうために音楽をかけています。また、CDをかけられるので患者さんの好きな音楽を流すことが可能です。実際に、患者さんが持参したCDをかけることで検査を中断することなく、無事に終えることができた例を経験しました。
・患者さんに付き添える環境
基本的に検査の時、患者さんは1人になります。「機械の中に入るのは怖いけど、そばに誰かがいれば頑張れそう…」という方も中にはいます。ご家族やお付き添いの方が一緒に検査室に入り、付き添える環境をつくることも大切です。
以前、患者さんから頼まれて約20分間、手を繋いで検査を行ったことがあります。検査前はとても不安を感じていましたが無事に検査を行うことができました。
・シーケンスの順番を変更
最後まで撮像できることが理想ですが、検査を中断せざるを得ないことも多々あります。その際、最低限必要な画像が撮像できていなかったという事態は避けたいです。
事前に放射線科医や主治医に相談し、シーケンスの順番を入れ替えたり、撮像時間短縮シーケンスに変更するなどして「画像がなかった」を極力避けるように努めることが大切です。
以上、私が実践している閉所恐怖症患者の検査における心遣いについてまとめました。
安定剤などのお薬をあらかじめ使用してもらう方法や、ボアの中で映像を鑑賞できる装置などもありますが、ちょっとした工夫で患者さんの不安を和らげて検査を行うことができます。
今回の記事が検査の一助になれば幸いです。
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