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EOB-DTPA静注後のSTIR 併用low b DWIの有用性
- 2014/11/10
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Gd-EOB-DTPA静注後の肝実質
Gd-EOB-DTPAは、御存知の通り、肝細胞特異性造影剤で、転移の検索に用いられます。静注後15分程度経つと、正常肝はかなり造影され(T1値が短くなり)、個人差はありますが脂肪のT1値に近くなります。そこでSTIR法を用いると、脂肪だけでなく、肝実質の信号も抑制されますので、病変と肝実質とのコントラストが向上する可能性が考えられます。
参考文献はここにあります。
(Detection and characterization of focal hepatic tumors: a comparison of T2-weighted MR images before and after the administration of gadoxectic acid.Magn Reson Imaging. 2009 Aug;30(2):437-43.)
この方法の問題点は、血管と病変が共に高信号となるために、両者の判別が難しい場合があることです。
そこで今回、(普通はCHESSで脂肪抑制を行う)low b value DWIと、STIRと組み合わせた方法をご紹介します。
STIR 併用low b DWIの有用性
EOB造影STIR画像の有用性(病変が高信号、肝臓は抑制される)はそのままに、欠点であった血管の高信号が、拡散強調画像を用いることにより抑制されるはずですね。
これは転移性肝腫瘍(大腸がん)の例です。左が造影前、右が造影後の画像(連続2スライス)です。
造影後は肝実質の信号がSTIRにより抑制され、腫瘍とのコントラストが向上しているのがおわかりになると思います。
また血管もlow b value DWIの働きにより消えていますから、先に掲げたSTIR法より病変のみを描出する効果に優れていることがわかります。
もう1例 転移性肝腫瘍(大腸がん)の例を示します。左が3D 脂肪抑制T1強調型GE法(eTHRIVE)、真ん中がhigh b DWI、右がSTIR併用low b DWIです。いずれの画像も造影後です。
腫瘍と肝実質とのコントラストは high b DWIよりも STIR併用 low b DWI のほうが良く、明瞭に病変が描出されていることがわかります。このように、STIR併用low b DWIは夜空の星のように、暗い(低信号)肝臓の中から明るい(高信号)腫瘍を検出することが非常に容易となります。低いb値を用いているので、EPI特有の画質の劣化も少なくてすみます。
注意点=造影される腫瘍(例 FNH)には使えない
ただし、下記の図に示すように、造影剤を取り込む症例(FNH)では、病変自体の信号も抑制してしまい、病変がわからなくなってしまうので注意が必要です。
あくまでも造影剤を取り込まない病変(転移性肝腫瘍など)を対象に使用してください。
とても良い方法だと思うので、是非皆様に使っていただきたく思います。どの装置でも可能だと思います。
ライター紹介
中 孝文(社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院)
MRIに携わるようになって約12年目になります。当初はこれほど長く携わるとは思いませんでしたが、神奈川GE MRのユーザ会のメンバー、そして職場の仲間との貴重な出会いが現在まで私を支えてくれています。皆様のご協力のもと、今後も頑張っていきたいです。
Chief Editor’s Comments
STIRは、脂肪だけでなく、脂肪と同じぐらいのT1値を持つものであればなんでも抑制するので、Gdで造影された肝実質も多かれ少なかれ信号が抑制されます。EOB検査は、転移性肝腫瘍やHCCの検出目的で用いられるのですが、これら腫瘍の検出に(もともと用いられているlow b DWIを)STIRを脂肪抑制プリパルスとして用いることができれば、こういった臨床応用ができますね。
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