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あらビックリIR-SegmentTrueFISPを使用した非造影MRVA
- 2014/12/25
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Inversion Recoveryを付加したSegmented True-FISPシーケンスをサブトラクションすることによって得られる前腕部の非造影MRVA画像
MRI検査においてTrue FISPシーケンスは非常に高いSNRを有する画像でかつ短時間で撮像できることから、さまざまな撮像方法に応用されています。特に血液信号が高く描出されることを利用した非造影のMRAは多くの部位に利用されています。しかし、信号充填方法によっては脂肪抑制効果や血液信号の描出が不安定になることがあるため、良好な画像が得られない症例もありました。(図1参照)
図1.True FISPによる描出不良の例
脂肪信号を除去する方法の1案
そこで3DのSegmented true FISPにIRを付加し、通常の画像(True FISP)からNull pointを血液信号に設定した画像(IR-True FISP)を差分することで、脂肪抑制効果が低下するLinear orderでも良好な血管画像が得られる方法の検討をしたので報告します。作成のイメージとしてはこんな感じです。
図2.画像作成のイメージ
MR装置はSIMENS社製MAGNETOM Avanto 1.5T B17を使用しました。k空間充填法は定常状態移行期の影響を受けにくいとされるLinearを選択し、ボランティア実験で得られたデータ(詳細は割愛)より、TRが650msでTIを350msに設定し、良好な血液抑制画像が得られました。前腕の撮像では手を挙上した状態を維持するために、今回は短いTRを選択して撮像時間を1分30秒程度に抑えました。このIR-True FISPによる血液抑制画像を通常のTrue FISPと差分することにより血流信号のみを描出することが可能となります。
図3.前腕部True FISPのMIP像
True FISP画像は動静脈の分離が困難ですが、病変と血管との位置関係の把握などには非常に有用だと考えます。この方法は特別なシーケンスを使用することなく撮像が可能です。また1つのシーケンスを1分30秒で取得できるため、2つの撮像を行っても約3分程度で良好な脂肪抑制画像を得られることも利点です。しかし、IRの影響で脂肪信号がIR-True FISPで低下するため差分する際に重み付け(シーメンスではMultiply)を行う必要があります。また、TRを短くすることでIR True FISPでは水の信号が低下し、差分後の画像で関節液などが描出されることなどが問題点となります。
今後はより脂肪抑制が効きづらい鎖骨下領域の検討を行いたいと考えています。鎖骨下動脈をTOFで撮像すると末梢の描出能が不良となることもありましたが、True FISPであれば末梢までの描出が可能であると考えます。
ライター紹介
次世代分子イメージング つくば画像検査センター 井上 裕二
2年ほど前からつくば市の画像検査センターでお世話になっており、主にMRIを担当しています。MRIは非常に難解ですが少しでも知識を増やせるように、今後も頑張っていきたいと考えております。
Chief Editor’s comments
面白い利用法です。脂肪抑制は、なにかと「不均一」になりがちですが、造影後と造影前では同じように不均一なため、サブトラクションをするとうまく不均一がキャンセルできることがありますね。この方法もそういったことをうまく利用した方法だと思います。
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