12月1日から開催されているRSNA2019の機器展示レポートをします。初日の今日はGE Healthcareブースを案内してもらいました。にぎわっています。
Figure 1 GE Healthcareブース
MRIコーナーを拝見。今年のトピックはやはりAI!?
今回、GEブースのMRIコーナーにはよく見る「モックアップ」はなく、映像で映し出されたガントリーに寝台が装着されているという新しい展示方法でした。基本的にガントリサイズは大きく変わらない事や、この展示方法だとデジタルコンテンツも見て頂けるので、、、という事でこのような展示方法にしたそうです。2020年の放射線技術学会総会での展示もこの様になるのでしょうか?
Figure 2 モックアップ??
GEが力を入れている「AIRコイル」ですが、今回は様々な形状・大きさのものが展示されていました。AIRコイルは今まで大きいサイズのザブトンコイルのみでした。しかし今回はマルチパーパスサイズという名称で様々なサイズのコイル、撮像部位に合わせた形状のウェラブルにするなどの工夫がなされていました。着用型のコイルは腕神経叢の撮像に役に立ちそうです。
Figure 3 マルチパーパスサイズ(左)とウェラブル(右)AIRコイル
放射線治療用にも使用される予定だそうです。これは経頭蓋FUSでも役に立ちそうです。
Figure 4 オンコロジーAIRコイル
AR技術を使って実際AIRコイルを装着した雰囲気を体験できるお遊びがありました。装着時のイメージができるので大きさなどを体感できるそうです。定位置に立って、見たいコイルを選んだらそのコイルを乗せたい場所に持っていくとそこでパシャっと写真を撮ってくれました。後でメールにて送ってくれるそうです。面白い。
追加Figure AR体験
このようなハード面でのアップデートに加えてAI(Deep Learning)を組み合わせた技術がトピックとして強調されていました。
AIR + AI = AIR がテーマ
AIR+AI = 「AIRワークフロー」「AIRイメージクオリティ」と呼ぶそうです。
AIのアルゴリズムを使って撮像角度(OMラインなど)を自動で設定してくれるワークインプログレスや、PROPELLERのストリークアーチファクトも消してくれます。これならばNo Phase Wrapを小さくして、短時間でアーチファクトレスな画像が得られるかもしれません。
撮像角度を自動で設定してくれる機能は、あらかじめ組み込まれている設定からプルダウンで選択する構成になっているそうです。ユーザー視点から考えると任意の2点をオペレーターが決めて、撮像角度を決められる機能もあるとうれしいのですが、、、こだわりすぎかな。
もちろんAIお得意のノイズリダクションもありました。他メーカーからは少し遅れをとりましたが、GEも負けずにきれいな画像でした。イメージベースでノイズリダクションが行われているのではなく、k-space上でノイズリダクションを行っているそうです。GEさんから写真NGのお願いをされてしまったので掲載できないのが非常に残念ですが、本当にきれいな画像でした。横浜の総会では見られるかもしれません。皆さん楽しみにしていてください。
新型CT Revolution
さらにCTも見させて頂きました。日本ではまだ正式発表していない新製品で、CT装置はRevolutionという名称のCT装置です。天井に3Dカメラを搭載することで、自動で位置決めをしてくれることに加えて、3Dカメラなので高さ方向も自動認識できるということでした。
Figure 5 新CT装置(左)と3Dカメラ(右)
つまり、水平方向の位置だけではなく患者の体厚に合わせた高さも自動で合わせてくれるため、撮影者間でのバラツキを少なくしてくれることや、検査のスループットを向上させることが期待できます。患者を寝かせて、検査部位を選んで、決定ボタンを押すだけ。簡単で早く、安定した画像が出せる。いいシステムです。
患者が動いてしまってもAI機能でその動きに追従して基準点をフレキシブルに変更してポジショニングを行ってくれるそうです。これならば一人で撮影業務をしている状況でも、放射線技師が動きの激しい患者を抑制帯で固定している間に、AIがポジショニングを行う事も可能となり、作業効率が上がりそうですね。
True Fidelity
もちろんCTでもAI(Deep Learning)をベースとしたリコン技術が「True Fidelity」という名称で発表されていました。こちらも画像を掲載できないのが残念です。逐次近似再構成で問題となっていたプラスチックライクな画像は、AIリコンでは全くありませんでした。違和感なくノイズ低減できるので、低被ばく・高画質を両立させることができたそうです。100万件以上を教師データとして作成。この中には健常者や患者、ファントム画像など様々なデータが入っており、肺野や腹部など部位ごとにAIアルゴリズムを変えて画像を作成することでより高画質にできるとのことでした。拝見した画像では、細い血管や脂肪層のテクスチャも残したまま再構成されていました。すごいです。逐次近似再構成ではこのような微細構造は消えてしまっていたのも問題となっていましたからね。気になる再構成処理時間は、逐次近似再構成のASiR-Vでは秒間40~60フレーム。一方でTrueFidelityは秒間約30フレームで再構成できるので、処理時間は若干遅くなるが、臨床でも利用できるほどの処理能力だということでした。
CT画像のAIを使ったノイズリダクション技術は、Rawデータとイメージベース両方で行われるハイブリッド型ということでした。イメージベースでノイズを認識してRawデータに戻りそのノイズを消すという方法だと教えてもらいましたが、詳細なアルゴリズムは秘密だそうです。
心臓領域にもAI技術は非常に役立ちそうでした。従来、ビュー数を増やして空間分解能を上げるとノイズが増えてしまい、臨床に役に立っているとは言いがたい状況でした。しかしAIを使うことで、高分解能かつノイズがない画像が得られる様になったことから、心臓領域では特にAIの真価が明らかとなったのかもしれません。
まだまだAIの勢いは続きそうだと実感させられる内容が多く発表されていました。
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