RADっていいとも 素敵な仲間とのペンリレー (10) 木村哲哉

題名:『マイノリティ(少数派)に挫(くじ)けず』

自画

自己紹介

大阪赤十字病院の高津さんからご紹介いただきました、市立堺病院の木村哲哉と申します。

実は熊本県出身で大阪には、1977(昭和52年)年に出てきました。その後、和歌山高専時代と、就職してから20年ほどの期間を和歌山で過ごしましたので、今ではすっかり大阪人気取りですが、実のところ人生の半分は和歌山県民というエセ大阪人です(笑)。1990年、大阪大学医療技術短期大学部(現大阪大学医学部保健学科)卒業後、和歌山市の向陽病院、2004年から大阪市の医療法人社団ハイメディッククリニックWEST(2004年、2011年に同じグループ内の山中湖クリニックへ出向)、そして2013年、現在の勤務先である市立堺病院に就職しました。卒後すぐからMRIに従事しましたので、私の技師歴はそのままMRI従事歴となります。MRI以外には、向陽病院では核医学検査、ガンマナイフ、ハイパーサーミアなど、ハイメディッククリニックWESTや山中湖クリニックではPET検査および、PET製剤(18F-FDGや13N-アンモニア)の合成やサイクロトロンの運転などにも従事していました。

趣味

磯釣りや船釣りが好きで、和歌山時代は月2回ペースでグレ(メジナ)釣りに出かけましたが、大阪に移ってからは忙しくてなかなか行けなくなってしまいました。これまた、最近はあまり行けませんが、長距離のウォーキング(お散歩?)や立ち飲み屋巡りなども好きです。当直明けにわざわざナンバまで出かけて、朝からお気に入りの店に行くことはたまにありますが…^^;

長く続けているのは高専時代の同級生とのキャンプでしょうか。ダッチオーブンでカレーやシチューを作ったり、スモーカーで同級生の釣ってきたアマゴなどを燻製にしたりと、美味しいものには目がありません。

画像1

MRとの関わり

まだ医療短大の学生だった頃に見学させてもらった、近畿大学医学部附属病院で初めてみた脳のMRI画像に魅了され、MRIが触りたいと勤めたのが、1990年に就職した向陽病院です。ここは、当時、和歌山にたった4台しかなかったMR装置をいち早く導入した先駆的な位置づけの個人病院でした。こちらでは東芝の0.5T装置MRT-50Aを皮切りに、1995年からはPhilipsの0.5T装置Gyroscan T5-NTを、2001年からは東芝の1.5T装置Excelart XG-Sを使っていました。研究を志すようになったのは、T5と同時期に開始したガンマナイフによる脳腫瘍のRadiosurgery治療のため、脳腫瘍描出能の向上を目指したことがきっかけです。当時、まだあまり流行っていなかったFLAIR法にGd造影を用いて描出能をあげたり、MTC併用の3D-GrEなども治療計画用に使ったりと、0.5Tでも1.5Tに負けない画像作りをするために、日夜苦心していました。

画像2

転移性脳腫瘍(左)および聴神経腫瘍(右)のT1強調画像(上段)と造影FLAIR画像(下段)

この頃から、京都の実験部隊とも言えるCT・MR画像研究会(通称:円卓)に足繁く通うようになります。円卓では、dB/dtの測定実験や各社MR装置のSAR比較実験などに参加させていただき、のちには、Phased Array Coilの感度補正技術に関する論文、MRのスライス厚測定に関する論文(d-ERF法)も仕上げることになります。このd-ERF法の実験では、今回、私を紹介してくださった高津さんに大変お世話になりました。2005年からは、全身用3.0T装置としては国内2台目になるGEのSigna HD 3.0Tに出会います。初めての3.0Tには泣かされましたが、1号機の導入されていた大阪大学医学部附属病院へ研修に行かせていただき、ジャジャ馬を乗りこなすために試行錯誤を繰り返しました。

画像3

Signa HD 3.0T

マイノリティに挫けず

「研究なんて、自分にはムリ」と思っておられる方々は、たくさんいらっしゃると思います。でも、自分の出す画像を少しでもよくしたいと思う気持ちはどなたにもあるはずですね。私もそんな一人でした。ただ、自分の力だけではどうにもならない時があって、誰かの意見が必要になってきませんか?

私の通ってきた道は、振り返ると、どちらかといえばマイナーな内容ばかりで、意見を聞くにも近くにはあまりいないという環境でした。それが、和歌山から飛び出す原動力となりました。実験はというと、受信コイルのX線写真を撮ってみたりとか非常に泥臭い仕事ばかりでした。同じ実験を何回も繰り返して、時には成功したのか失敗したのかさえ、分からなくなることもありました。でも、それがひょんなことから新しい発見を生むことだってあります。そうすると、誰かにそのうれしさを話したくなって、結果的にはそれが研究会や学会での発表につながり、そこから研究の面白さにつながっていきました。

どんなマイナーな話題にも通説というものはあるものですが、ちょっとナナメから見てみることをお勧めします。そもそもみんな赤の他人なのですから、全く同じ考え方の人がいる方が不思議なのだと思えば、人と違った視点でものを見ることに何の物怖じもないでしょう。ただし、そこで新しい発見があっても、当然、マイノリティ(少数派)です。ちなみに私にとっては、それが造影FLAIRやd-ERF法につながりました。でも、いわゆる「第一人者」とか「パイオニア」と呼ばれる方々も、はじめは単にマイノリティだったのかも知れません。いつかマイノリティがパイオニアに変化するまで続けることが大事なのだと思います。

次の人は・・・

群馬県立県民健康科学大学・大学院の小倉明夫教授をご紹介します。私にはMRで師匠と慕う方が何人かおられるのですが、その筆頭ともいうべき方です。前出の「円卓」を率いておられ、1997年ごろ、私が円卓へ通いだしてからのお付き合いになります。(この円卓では、多くの方々とそれぞれの研究内容について多くの意見を交わすことができ、非常に勉強になりました。)ご自身は一昨年、京都から群馬へ教員として転身されました。各学会の理事、評議員なども兼務され多忙な小倉教授ですが、お酒や研究と上手く付き合うコツなどを伺えたら幸いです。宜しくお願いします。

RADっていいとも

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