当院でのMRCP検査(背景)
MRCP検査では、Heavily T2強調画像を用いた手法により2D、3D撮像が行われています。
多くの施設で、3D撮像を行いMIP処理することで全体的な立体構造が把握できるため、ルーチン検査として確立されていますね。
今回検討している3D撮像は、FASE3D法(東芝装置)をベースとしていて、呼吸同期を併用し4分ほどで撮像しています。
呼吸が安定しない!
この呼吸同期法は、呼吸さえ一定であれば呼吸性によるお腹の動きを抑制した、きれいな画像を得ることができます。どの装置でも呼気のタイミングで撮像をするように設定するだけです。
しかし、検査を行っていると呼吸が一定のリズムでできない場合や、お腹にベローチェ(ベローズ)を巻き付けるタイプの同期法だと、一定の動きをうまく捉えられず同期撮像が失敗する場合を多く経験します。
その場合は下図のようになり臨床に有用ではない画像となってしまいます。
「一時停止ボタン」で長い撮影を間欠的に撮影する
3Tや、最新の1.5T装置では性能が良くなり20秒程度の息止めで3D-MRCP撮像が可能になってきています。しかし装置によっては、どんなに撮像条件を調整しても30秒を過ぎてしまいます。例えば、呼吸同期法でスライス厚2mm、加算回数2回で撮像している場合、スライス厚5mmに変更し、撮像枚数を減らすことで撮像時間を短縮し息止め撮像することも可能ですが、MIP処理したときの画像は呼吸同期法での3D-MRCPに比べ画質的に見劣ります。
今回紹介する方法では、スライス厚を3mm、加算回数1回に変更、TR1500msに下げて撮像時間を45秒に調整しました。
そこで使用するのが一時停止ボタンを用いた間歇息止め法です。
東芝装置(Vantage XGV)にはこのようなボタンがあります。
例えば撮像時間を45秒と設定し、そのままスタートボタンを押して息止め撮像を開始します。15秒経過したところでポーズボタンを押し一時停止をします。このとき、患者さんには一度息を楽にしてもらいます。患者さんの呼吸が整ったところで、再びスタートボタンを押して息止め撮像を行います。これを繰り返します。
全撮像が終了すると自動MIPされ、以下のような画像が得られます。(前述の呼吸不良画像と並べてみます)
かなり、画像はシャープになりました。
スライス厚が1mm大きくなっていること、加算回数を1回に減少させていることなどから、本法では呼吸同期法に比べ若干鮮明さに劣り、膵管など細かいものの描出が劣るところもありますが、呼吸同期不良の場合には威力を発揮します。
症例です
本症例は、15秒前後の息止め2D画像は撮像可能でしたが、3D-MRCP撮像で使用する呼吸同期法では呼吸が不安定なため有意な3D画像が得られませんでした。そこで撮像条件を調整、T2-plusを併用するなどで撮像時間を37秒ほどに調整し、間歇息止め(3回法)にて施行した結果、呼吸・生理的な動きによる位置ずれもなく、呼吸同期と遜色ない画像が得られました。
呼吸が一定で繰り返せなくても、15秒ほどの息止めならできる方は多いです。特にやせている方や緊張してしまう方は呼吸が不安定になりがちなのでその場合には有効です。
ただし、同じくらいの呼吸量で息を止めてもらわないと画像がぶれるので、検査前に患者様への丁寧な説明が重要です!
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。